ハノーバーメッセ2025の見どころは? 「今後の業界の先駆者を決定」と主催者:ハノーバーメッセ2025
ドイツメッセは東京都内で記者会見を開き、同社がドイツのハノーバーで開催する世界最大級の産業見本市「HANNOVER MESSE 2025(ハノーバーメッセ2025)」の概要や見どころを紹介した。
ドイツメッセは2025年1月16日、東京都内で記者会見を開き、同社が同年3月31日〜4月4日にドイツのハノーバーで開催する世界最大級の産業見本市「HANNOVER MESSE 2025(ハノーバーメッセ2025)」の概要や見どころを紹介。2025年に創業100周年を迎えるる空圧機器/電動機器メーカーのフエストのトップも登壇した。
未来がどのように形成されていくかを示す場に
今回は「Industrial Transformation - Energizing a Sustainable Industry(産業変革 - 持続可能な産業の活性化)」がテーマとなっている。複雑な製造プロセスのデジタル化や、AI(人工知能)を活用した製造プロセスの最適化、工場における水素活用など、現在および未来の産業界でテクノロジーがもたらす幅広い可能性を提示する。
主な展示分野は「Smart Manufacturing(スマートマニュファクチャリング)」「Digital Ecosystems(デジタルエコシステムズ)」「Energy for Industry(産業用エネルギー)」「Compressed Air&Vacuum(コンプレストエアと真空技術)」「Engineered Parts&Solutions(加工部品とソリューション)」などとなっている。
ドイツメッセ グローバルディレクター トレードフェア&プロダクツマネジメントのバシリオス・トリアンタフィロス(Basilios Triantafillos)氏は「ハノーバーメッセがユニークなのは、単に製品を示すだけでなく、未来がどのように形成されていくかを示している点だ。単なるイベントではなく変革のホットスポットになっている。今後10年、業界の先駆者は誰になるのか、決定付けるイベントになる」と語る。
スマートマニュファクチャリングのエリアでは「インテリジェントで持続可能な生産」をテーマとしており、国際競争力を高め、生産工程を効率的かつ持続可能なものにする、AIをはじめとする最先端の技術、機器を紹介する。ベッコフオートメーションやボッシュ・レックスロス、ifm、フェスト、シュナイダーエレクトリック、フエニックス・コンタクト、シーメンスなどが出展する。
設計から完成品まで全ての工程にAIが関与
産業用エネルギーのエリアでは、欧州最大の水素関連の展示会「Hydrogen+Fuel Cells EUROPE」が行われ、水素および燃料電池、エネルギーの生成と分配の効率性や持続可能性に関連した最新の製品、サービスが出品される。コンプレストエアと真空技術のエリアでも、コンプレッサーや真空技術の最適化に関する企業が水素エネルギー、貯蔵分野向けのソリューションを提供する。GPジュールやJanitza、PreZero、EMKAなどが出展する。
デジタルエコシステムズのエリアでは、インテリジェントな機器のネットワークやサプライチェーンのデジタル化、ビッグデータやAIを利用したビジネスモデルなどのアプリケーションや活用事例が一堂に会する。アクセンチュアやAleph Alpha、アルテアエンジニアリング、オートデスク、AWS、デル、グーグルクラウド、マイクロソフトなど600社以上が出展する。
「AIは2025年の包括的なテーマといえる。設計から完成品に至るまで、全ての工程でAIが使われるようになっている。AIは指数関数的な可能性と変化をもたらすだろう。この先、AIで何ができるようになるかは私の理解が及ぶものではない。今までにないような可能性を秘めている」(トリアンタフィロス氏)
今回のパートナーカウントリーはカナダ
ハノーバーメッセ2025のパートナーカウントリーはカナダだ。
カナダはG7加盟国の全てと貿易協定を結んでいる他、CETA(EU・カナダ包括的貿易投資協定)、CPTPP(環太平洋パートナーシップ協定)、USMCA/CUSMA(米国・メキシコ・カナダ協定)を含めてグローバルで計51カ国と貿易協定を結んでいる。また、カナダ政府とドイツ政府は、カナダ・ドイツ水素アライアンスを結んでいる。
カナダのネクストジェネレーションマニュファクチャリングカナダ チーフエグゼクティブオフィサーのジェイソン・メイヤーズ(Jayson Myerys)氏は「前回のハノーバーメッセに出展したカナダ企業に話を聞くと、合わせて1億カナダドル以上のビジネスにつながっている。カナダは国を閉ざすには小さすぎるため、国際協調がカナダのビジネスにとって重要だ。そのため投資国として最適なだけでなく、先進的な製造業の温床でもある」と話す。
カナダのメインパビリオンはホール2に置かれ、「The Future's here(未来はここに)」のテーマの元、220社近いカナダ企業、大学、研究機関がオートメーション、エネルギー、DX(デジタルトランスフォーメーション)、グリーンテクノロジーなどのソリューションを出展する。
会見には、2025年に創業100周年を迎えるドイツの空圧機器/電動機器メーカーのフエストで代表取締役を務めるボゴダニビッツ・グレゴリッシュ(Bogdanowicz Gregorz)氏も登壇し、「100周年を迎えるタイミングでもあり、ハノーバーメッセではこれまでの発展の歴史から生体工学やアクチェーターの未来まで幅広く展示したい。1μm刻みで位置決めできるエアシリンダも登場する。人口動態や人材の製造業離れなど日本とドイツは多くの共通の課題がある。互いに学び合えることがたくさんある。ぜひブースに来場してほしい」と呼びかけた。
ハノーバーメッセ2025全体では、ハノーバー国際見本市会場を会場に世界70カ国から300社以上のスタートアップ企業を含む4000社以上の企業が出展する見込みとなっている。また、約1600人の講演者によるセッションなども予定されている。
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