設備の設置スペースが足りない問題【後編】:設備設計現場のあるあるトラブルとその解決策(8)(2/3 ページ)
連載「設備設計現場のあるあるトラブルとその解決策」では、設備設計の現場でよくあるトラブル事例などを紹介し、その解決アプローチを解説する。連載第8回は、前回に引き続き、構想設計の段階で直面する「設備の設置スペースが足りない問題」を取り上げる。
NG品の排出どうする?
生産設備は、投入された製品が常に正常に処理されることが理想です。しかし、実際にはNG品(異常や不具合があるワーク)が発生することもあります。そのため、設備設計の際には、このNG品が発生したときの処置方法についても検討しておかなければなりません。
「機械は常に同じ動きをするのに、なぜNGになることがあるのか?」と疑問を抱かれるかもしれませんが、その理由の一例を挙げると、
- ヒューマンエラーによるもの
セットするワーク品種の間違い、装置の設定パラメーターのミスなど - 生産設備を構成する部品の不具合によるもの
部品の摩耗による加工精度の悪化など - その他要因によるもの
地震や停電の発生により、設備が非常停止した場合など
が考えられます。
そのため、「100%不具合が発生しない」ということはまずあり得ません。こういった各種イレギュラーが発生した場合に、どのようにして設備内からNG品を取り出し、どのようにして正常運転へ復旧させるかを考える必要があります。
例えば、「機械の電源を落として、作業者が手動で取り出す」のであれば、取り出し用の開口や扉を設置しつつ、作業者が取り出し作業を行えるようなスペースを確保する必要があります。あるいは、「異常を検知したら、そのワークを自動的に排出させる」のであれば、自動排出のための機構やNGワークの排出口を設ける必要があります。
また、こうした対策の必要性が設計途中で判明し、設計変更を余儀なくされたときのインパクトがどれほど大きなものかは想像にたやすいでしょう。
筆者の経験上、NG品の処置方法について“仕様書内に記載がない”ケースは一定数あります。その場合、生産技術の担当者に確認を取るようにしていますが、ここで厄介なのが「生産技術の担当者と生産ラインのオペレーターとの間で認識のすり合わせが行われていない」場合です。こうした状況にもしばしば直面します……。
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