RAGとの組み合わせでエッジ生成AIを可能に、NXPがAI開発ソフトに新機能:人工知能ニュース(1/2 ページ)
NXPジャパンが無償で提供しているAI/機械学習開発ソフトウェア「eIQ AIソフトウェア」の最新アップデートについて説明。時系列データを基にエッジ機器向けのAIモデルを構築する「eIQ Time Series Studio」と、生成AIのカスタマイズ手法の一つである「RAG」の作成を行える「eIQ GenAIフロー」という2つのエッジAI機能を新たに追加する。
NXPジャパンは2024年10月31日、オンラインで会見を開き、無償で提供しているAI(人工知能)/機械学習開発ソフトウェア「eIQ AIソフトウェア」の最新アップデートについて説明した。センサーなどの時系列データを基にエッジ機器向けのAIモデルを構築する「eIQ Time Series Studio(TSS)」と、エッジ機器向けに生成AIのカスタマイズ手法の一つである「RAG(検索拡張生成)」の作成を行える「eIQ GenAIフロー」という2つのエッジAI機能を新たに追加する。eIQ TSSはCPU処理に限るものの既に利用可能な状態で、NXP独自のAIアクセラレータである「eIQ Neutron NPU(Neural Processing Unit)」での利用は2025年初を予定している。eIQ GenAIフローのリリースも2025年初の予定だ。
NXPのMCUやアプリケーションプロセッサのラインアップを再編している。中核を成すのがフラッシュベースMCUの「MCX MCU」、MCU向けながら高性能のプロセッサを搭載するクロスオーバーMCUの「i.MX RT」、アプリケーションプロセッサである「i.MX 9シリーズ」となっている。これらのラインアップは全てeIQ Neutron NPUの搭載が可能になっており、エッジAIの推論実行で高い性能を得られることが特徴だ。
eIQ AIソフトウェアは、これらのラインアップを含めたNXP製品のCPU、NPU、GPU、DSPによってAIを活用できるようにする開発ツール、ユーティリティー、ライブラリを統合したAI/機械学習ソフトウェアである。ユーザーが持つAIモデルをNXP製品上で効率的に動かすための実装に加え、ユーザーが持つデータからのAIモデル構築も可能だ。
eIQ TSSは、MCUレベルの組み込みアプリケーションにおけるAI活用で一般的な時系列データを基にしたAIモデルの構築と、NXP製品への実装/展開を簡素化する機能である。電圧、電流、温度、振動、圧力、音、ToF(タイム・オブ・フライト)センサーなど幅広い入力信号をサポートするだけでなく、それらの信号を組み合わせてマルチモーダルなセンサーフュージョンのAIモデルも構築できる。
自動機械学習を行うためのAutoMLの機能を備えており、開発者は生の時系列データから意味のあるインサイトを抽出し、性能、メモリ、フラッシュストレージ容量、精度の基準を満たすようにカスタマイズされたAIモデルを短時間で構築できる。NXP製品向けの時系列データベースのAIモデル構築では、エンドツーエンドをサポートする開発ツールとなる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.