AGCが当期純利益で1064億円の損失、ロシア事業譲渡やバイオ医薬品事業が影響:製造マネジメントニュース(1/3 ページ)
AGCは、オンラインで会見を開催し、2024年度(2024年12月期)第1〜3四半期(1〜9月)の決算を発表。2024年度第1〜3四半期の累計の売上高は為替による増収効果もあり前年同期比504億円増の1兆5342億円となった。営業利益は、原燃材料価格が下落したものの、オートモーティブやライフサイエンスなどでのコストの悪化により同15億円減の940億円だった。
AGCは2024年2月8日、オンラインで会見を開催し、2024年度(2024年12月期)第1〜3四半期(1〜9月)の決算と2024年12月期通期業績の見通しを発表した。
ロシア事業譲渡に伴う減収影響などで増収減益
2024年度第1〜3四半期の累計の売上高は為替による増収効果もあり前年同期比504億円増の1兆5342億円となった。営業利益は、原燃材料価格が下落したものの、オートモーティブやライフサイエンスなどでのコストの悪化により同15億円減の940億円だった。親会社株主に帰属する当期純利益は同1640億円減の1064億円の損失となった。
AGC 副社長 執行役員 CFOの宮地伸二氏は、「その他費用として上期に発生した、バイオ医薬品CDMO(医薬品製造受託機関)事業への設備投資による減損損失およびロシア事業の譲渡に伴う関係会社株式売却損により、前年同期と比べ当期純利益が大幅に減った」と話す。
AGCグループは、2021年2月に長期経営戦略「2030年のありたい姿」を策定した。この戦略では、長期安定的な収益基盤となる「コア事業」と高成長分野である「戦略事業」を両輪として、最適な事業ポートフォリオへの転換を図り企業価値の向上を目指している。
2030年のありたい姿を着実に実現するため、前中期経営計画(中計)「AGC plus-2023」に続き、2024年2月に2026年を最終年度とする中計「AGC plus-2026」を策定した。その主要戦略として、コア事業の深化と戦略事業の探索を実現する「両利きの経営」の進化、サステナビリティ経営とDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速、経営基盤の強化を設定している。
この戦略に沿って、2024年度第3四半期連結累計期間では、日本でグリーン水素製造に適したフッ素系イオン交換膜の製造設備新設を決定した。一方、ロシアにおける建築ガラス/オートモーティブの事業について譲渡を完了するなど、最適な事業ポートフォリオへの転換を進めている。
業績について、戦略事業のうちエレクトロニクスセグメントは、極端紫外線(EUV)露光用フォトマスクブランクスなどの出荷が堅調に推移した。コア事業のうちディスプレイ事業は液晶用ガラス基板の出荷が増加し販売価格が上昇した一方、建築ガラスセグメントは、欧州で販売価格が下落したことに加え、ロシア事業譲渡に伴う減収影響があった。
自動車用ガラス事業は、日本を中心に自動車生産台数が減少した結果、同社グループの出荷数が減少。エッセンシャルケミカルズは、苛性ソーダや塩化ビニール樹脂の販売価格が下落した。
セグメント別では、建築ガラスセグメントの売上高は前年同期比250億円減の3297億円で、営業利益は同129億円減の140億円となった。同セグメントの建築ガラスは欧米市場で為替による増収効果はあったものの、販売価格が下落した他、ロシア事業譲渡に伴う減収影響により前年同期に比べ減収だった。アジアでは、出荷数が減少したことから、前年同期に比べ減収となった。
オートモーティブセグメントの売上高は同88億円増の3750億円だった。営業利益は為替による増収要因はあったものの、北米を中心とした製造原価の悪化などにより同47億円減の114億円となった。同セグメントの自動車用ガラスは、日本を中心に自動車生産台数が減少した結果、同社グループの出荷数は減ったが、為替による増収効果などがあり前年同期に比べ増収だった。
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