大手メーカーからの問い合わせを増やすには? 担当者に聞いた「外注先の見つけ方」:間違いだらけの製造業デジタルマーケティング(18)(2/3 ページ)
コロナ禍で製造業のマーケティング手法もデジタルシフトが加速した。だが、業界の事情に合わせたデジタルマーケティングを実践できている企業はそう多くない。本連載では「製造業のための正しいデジタルマーケティング知識」を伝えていく。第18回のテーマは「大手企業から問い合わせを増やすための方法」だ。
加工事例(実績)が最も重要
外注先候補を選定する際に最も重視する情報は「加工事例(実績)」であり、半数を超える56.8%の企業がこの項目を選んだ。次いで「会社の規模」(52.3%)と「取引先」(51.4%)が続く。また、「ISOなどの規格や資格」(41.4%)や「設備情報」(33.3%)、「経営者の考え方」(32.4%)も重視されている。
一方、「工場の風景」(27.0%)や「新着情報」(7.2%)はそれほど重要視されていなかった。発注候補先企業を選定する際には、具体的な実績や信頼性、品質管理への取り組みが重要視されていることが分かる。企業はこれらの情報をWebサイトで明確に示すことで、発注者からの信頼を得やすくなるであろう。
Webサイトの注意点
情報は小まめに更新すること
発注先候補企業を絞り込む際に、どのようなWebサイトの企業を除外するか尋ねたところ、回答者の50.5%が「特徴が分かりづらい」企業を候補から外すと答えている。企業の強みや特性が明確に伝わらず、信頼性が低下するためである。また、45.0%が「掲載している情報が古い」と回答し、最新情報の提供が信頼性に直結していることが分かった。さらに、43.2%が「実績が載っていない」企業は外すとしており、具体的な実績や取引先情報の欠如が企業の選定に影響を与えていた。
また、33.3%の回答者が「Webサイトが見づらい」企業と回答し、ユーザビリティの低さがフラストレーションを引き起こすことが示されている。さらに、「デザインが古い」企業を外すと回答したのは27.9%で、デザインの古さが、企業の適応力に対する懸念を生じさせていることも明らかになった。
以上の結果から、企業はWebサイトの情報を小まめに更新し、最新の実績や取引先情報、企業の特徴を明確に伝えることが重要であるといえる。情報が古かったり、特徴が分かりにくかったりする企業は発注先として選ばれにくくなる恐れがあるため、常に最新の情報を提供し、信頼性を高めることが大切である。
動画はページに埋め込みすること
このグラフは、 前出のQ2のグラフと合わせて見てほしい。
Q8のグラフでは、業務に関連する動画コンテンツを視聴することがあると答えた人が約7割に達している(「よくある」24.4%と「ややある」45.0%の合計)。これは、動画コンテンツが情報提供の手段として非常に有効であることを示している。しかし、Q2のグラフでは、YouTubeを情報収集手段として利用するとの回答はわずか9.0%にとどまっている。このことから、YouTubeを直接利用して情報を収集するケースは少ないことが分かる。つまり、動画コンテンツは業務において重要な情報提供手段であるが、YouTubeで公開するだけでは不十分で、企業のWebサイトに動画を埋め込むことが効果的であると分かる。
検索エンジンを利用して情報を収集する人が多いため、動画コンテンツを自社サイトに埋め込み、検索結果から直接視聴できるようにすることで、情報提供の効果を最大化できると考えられる。
Webサイトのデザインは重要
Webサイトのデザインが発注先の選定に影響するか調査したところ、64.9%の回答者が「かなり影響する」または「やや影響する」と答えており、発注先選定において重要な要素であることが分かる。特に、19.9%が「かなり影響する」と答えており、デザインの洗練度や「カッコ良さ」が企業の第一印象に大きく関与していることが判明した。
検索エンジンを利用して情報収集する割合が高いことを考慮すると、企業のWebサイトは多くの訪問者にとって最初の接点となる。このため、視覚的に魅力的かつ使いやすいデザインは、企業の信頼性やプロフェッショナリズムを高める効果があると考えられる。逆に、デザインが古い、または見づらい場合、企業の印象を悪くし、潜在的な取引機会を逃す可能性がある。
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