誰も教えてくれない設計NGあるある【ねじ編/後編】:設備設計現場のあるあるトラブルとその解決策(6)(2/3 ページ)
連載「設備設計現場のあるあるトラブルとその解決策」では、設備設計の現場でよくあるトラブル事例などを紹介し、その解決アプローチを解説する。連載第6回は、前回に引き続き「誰も教えてくれない設計NGあるある【ねじ編】」をお届けする。
5.ボルトの頭やナットが適切に座につかないのはNG
部品の表面に対して穴が斜めになっていたり、穴に対してねじが斜めに傾いていたりすると、そこへボルトやナットを締め込んだ際に、座の一部分だけが接触するような形になります。このような状態になっていると、母材の損傷やねじの緩みの原因になるのでNGとなります。
もし、斜め方向に開いた穴にボルト/ナットを通して締結する構造にしていたとすると、ボルト/ナットを締め込んだ際に母材との接触面が極端に小さくなってしまいます。接触面が小さい状態で軸力を発生させてしまうと、その小さな接触面積に軸力が集中してしまい、母材が陥没する可能性が高くなります。母材が陥没するほどに締め込むと、その後、機械稼働中に発生する振動などにより軸力が抜けて、ねじが緩むトラブルを引き起こします。
わざわざ穴に対してねじを斜めにするような設計を行う人はほとんどいないと思いますが、施工の際に意図せずねじが斜めになってしまうことはあります。筆者の経験ですと、床面に支柱を立てる設計をしたものの、アンカーが斜めに入ってしまったことで現場から問題発生の報告を受けたことがあります。その現場は滑らかな床面ではなく、アンカーが斜めになってしまった……とのことです。
「それは施工業者の責任だ!」と言うのは簡単ですが、その影響によるスケジュールの遅れは、残念ながら許容されることはほとんどありません。こんなとき、優秀な設計者は、
- 設計段階でそのようなリスクが発生することを想定し、設計段階で対策をしておく
- 問題が発生しても、最小限の作業で問題解決できる方法を考え、設計変更する
といった対応を当然のように行います。
ちなみに、先ほどのアンカーの不具合については、当時の上司や同僚と相談し、「球面座金」という座金を使って、アンカーとの角度のズレを吸収することで問題解決を図りました。
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