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「Fun Factory」で現場にわくわくを、製造業×Gamingでモチベーション向上イノベーションのレシピ(1/2 ページ)

三菱電機が製造業にゲーミング要素を掛け合わせた新たなソリューション「Fun Factory」の開発を進めている。果たしてその中身とは。

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 三菱電機 名古屋製作所のオープンイノベーション推進部において、製造業にゲーミング要素を掛け合わせた新たなソリューション「Fun Factory」の開発が進んでいる。製造現場における作業者のモチベーション向上につながるアイデアとして、2024年6月に行われたイベントで社外に向けて紹介され、今後、社外での実証実験などを進めて、事業化を目指していく。Fun Factoryとはどんなソリューションなのか、その概要やアイデアが生まれた背景を聞いた。

目指すのは、人に優しい“Fun”な工場の実現

 オープンイノベーション推進部は、2018年にFA分野の新事業創出を目的に設立された。既存の事業部門とは離れた出島型組織となっており、名古屋製作所と産業メカトロニクス製作所の各事業部門から選ばれたメンバーが、スタートアップ企業などと連携しながら、新規の事業立ち上げを目指している。

 これまでにNEXCO中日本(中日本高速道路)と共同で、新東名高速道路の岡崎サービスエリアで、パッションフルーツの「IoT緑化シェード(以下、IGS)」を設置。三菱電機が開発したIGSは、生育が旺盛で密に葉を茂らせる特徴を持つパッションフルーツの屋根と気化熱を用いて屋外で涼しい空間を作り出す。シェード内にはセンサーやカメラなどのIoT(モノのインターネット)技術を組み込み、水やりとミストの制御を自動化し、遠隔から監視、育成管理が可能となっている。


岡崎サービスエリアに設置された「IoT緑化シェード」[クリックで拡大]出所:三菱電機

 オープンイノベーション推進部から新たに生まれたアイデアが「Fun Factory」だ。製造業とゲーミングを掛け合わせ、工場で働く作業者のモチベーション向上を図るソリューションになっている。

 三菱電機 名古屋製作所 オープンイノベーション推進部 事業企画グループの岡根正裕氏は「その日の生産台数やサイクルタイムなど製造現場の生産情報を、ゲーム要素を盛り込んで楽しく見せる化することで、作業者のモチベーションを向上させるアイデアになっている。これからの将来は、人の流動性が高まって作業者にとって魅力の少ない環境は一層敬遠される。その中で、作業者が生き生きとモノづくりに参加できる環境が一層求められる。作業者が楽しく、“わくわく”作業できる仕掛けを作って、作業者のモチベーションをアップさせる、人に優しい“Fun(楽しい)”な工場を実現したい」と語る。岡根氏自身も、2021年に現在の部署に異動するまでは放電加工機の開発などに携わってきた。

 組み立て作業におけるサイクルタイムはシステムによって自動で取得し、生産管理システムに集められて作業管理などに活用されているケースが多い。「こういった情報が作業者側に見える化できていなかった。それらのデータを楽しく見せる化しながら作業者にフィードバックするソリューションになっている」(岡根氏)。


製造業にゲームの要素を持ち込んだ「Fun Factory」の概要[クリックで拡大]出所:三菱電機

 具体的には、作業進捗や目標作業時間の達成度に応じて作業者に報酬(ポイント)を付与し、そのポイントを使って各作業者のアバターが持つ武器やコスチュームをアップグレードすることができるという仕組みになっている。「今日の作業はどうだったか、という振り返りをすることもできる」(岡根氏)。

 それぞれのアバターはスマートフォンやタブレット端末で確認でき、自身のアバターのグレードアップを楽しみにしたり、アバターの状態を見た同僚とコミュニケーションが生まれたりといった効果が期待できるという。

 名古屋製作所のサーボモーターの組み立てラインで実証実験も行った。

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