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ハイエンドヘッドフォンの新たな挑戦、3Dプリンタによる量産で革新を生み出す3Dプリンタニュース(1/3 ページ)

飯田ピアノが、独自開発のヘッドフォンブランド「KuraDa」として6年ぶりの新製品「KD-Q1」を発表。前モデルの「KD-P1」が切削加工を用いていたのに対し、KD-Q1は3Dプリンタで量産していることが大きな特徴になる。

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 飯田ピアノは2024年7月18日、SOLIZEの大和拠点(神奈川県大和市)で会見を開き、独自開発のヘッドフォンブランド「KuraDa」として6年ぶりの新製品「KD-Q1」を発表した。前モデルの「KD-P1」が切削加工を用いていたのに対し、KD-Q1は3Dプリンタで量産していることが大きな特徴になる。会見と併せて、SOLIZEが担当している3DプリンタによるKD-Q1の樹脂部品生産の様子も報道陣に公開した。

「KD-Q1」の外観「KD-Q1」の外観 「KD-Q1」の外観[クリックで拡大]
「HP Jet Fusion」で3Dプリントした「KD-Q1」のハウジング部品を取り出す様子。材料となる樹脂粉末の中からピックアップすることになる[クリックで再生]
「HP Jet Fusion」内部で3Dプリントする様子。樹脂粉末にカーボンブラックを印刷して焼結するプロセスを何度も繰り返しながら積層していく[クリックで再生]
飯田ピアノ オーディオ事業部 KuraDa 代表の飯田良平氏
飯田ピアノ オーディオ事業部 KuraDa 代表の飯田良平氏

 2012年にブランドを立ち上げたKuraDaは、静岡県三島市に拠点を置き、全ての部品を日本製とするヘッドフォンを独自開発してきた。これまでに、木材をハウジングに採用した密閉型ヘッドフォン「KD-FP10」「KD-C10」、超々ジュラルミンをハウジングに採用した開放型ヘッドフォン「KD-P1」を発売している。

 今回発売するKD-Q1は、KD-P1から6年ぶりとなる新製品だ。飯田ピアノ オーディオ事業部 KuraDa 代表の飯田良平氏は「KuraDaは『常に革新的であれ』『常に最良であれ』『常に謙虚であれ』を3つの哲学としてモノづくりを行ってきた。これらのうちKD-Q1は、『常に革新的であれ』を具現化するとともに、質実剛健をテーマに設計を行った」と語る。このテーマを実現する上で鍵になったのが「3Dプリントによる製造」と「新開発音響設計」の2つである。

KuraDaが開発してきたヘッドフォン
KuraDaが開発してきたヘッドフォン[クリックで拡大] 出所:飯田ピアノ
「KD-Q1」を開発する上で「3Dプリントによる製造」と「新開発音響設計」が鍵になった
「KD-Q1」を開発する上で「3Dプリントによる製造」と「新開発音響設計」が鍵になった[クリックで拡大] 出所:飯田ピアノ

切削加工と比べてメリットの大きい3Dプリント

 KuraDaがこれまで手掛けてきた3つのヘッドフォンのハウジングは、木材、超々ジュラルミンと材料は異なるものの全て切削加工で製造されている。切削加工は高精度なモノづくりができることが最大の特徴だが、その一方で高コストであるとともに生産性に難があり、切削した材料を捨てるという意味で材料の利用効率も悪い。「切削加工のハウジングは重いことも課題になる。例えば、アルミニウム合金である超々ジュラルミンよりも軽量化を目指す場合、材料としてマグネシウムが候補になるが切削加工ができない」(飯田氏は)という。

切削加工と3Dプリントの比較
切削加工と3Dプリントの比較[クリックで拡大] 出所:飯田ピアノ

 これに対してKD-Q1で採用する3Dプリントは、3D CADで設計した内容をそのまま出力でき、複雑な形状を作るのに細かく分割する必要がないなどデザインの自由度が高く、生産コストも切削加工ほど高くはない。積層造形なので材料の利用効率も高い。そして、材料に樹脂を用いる場合、3Dプリントのハウジングは切削加工と比べて大幅な軽量化が可能になることも利点になる。

 もちろん金型を用いて製造するという選択肢もあるが、高級ヘッドフォンであるKuraDaは量産数量が多いとはいえないため現実的な選択肢にはならなかったようだ。

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