イチから全部作ってみよう(10)トヨタとたこ焼き屋模擬店で理解する「機能分割」:山浦恒央の“くみこみ”な話(179)(3/4 ページ)
ECサイトを題材にソフトウェア開発の全工程を学ぶ新シリーズ「イチから全部作ってみよう」がスタート。シリーズ第10回は、要求仕様書の作成に役立つ「機能分割」について、トヨタの組織と高校のたこ焼き屋の模擬店を例に解説する。
5.たこ焼き出店における役割分担(要求仕様書)
5.1 目的
文化祭の出し物として、たこ焼き屋の模擬店を出店し、学外の人にくみこみ高校の良さを知ってもらう。
5.2 模擬店の役割分担図
下記に模擬店の役割分担を示す(図3)。
5.3 たこ焼き屋の出店
たこ焼き屋が正常に機能するよう、コントロールする。トヨタの社長のイメージで、「タコ焼き屋の出店」の統括役は、部長の山田君が担当する。
5.4 運営管理係
出店する場所の確保など、たこ焼き屋の出店に必要な指示を行う。
5.4.1 文化祭委員との調整
文化祭委員と定期的なミーティングを行って出店場所を確保し、詳細を部員たちに伝達する。
5.4.2 スケジュールの作成
出店期間に応じて、各部員のシフトや休憩時間などをまとめたスケジュールを作成する。作成したスケジュールはプリントして、部員に提示する。
5.5 設営係
5.5.1 場所確保
他の部と調整を行い、校舎内で確保した出店場所のレイアウトを作成する。
5.5.2 機材確保
たこ焼きを作成するための機材を確保する。
- タコ焼き機
- 竹串
- 調理器具(ボウル)
- 雑巾、クッキングペーパー
- お箸、提供用のトレイ
- 冷蔵庫
- 電源
5.5.3 安全管理
消火器、消火用の水を確保する。火傷用の軟膏を用意する。
5.6 食材確保係
たこ焼き屋の出店に必要な食材を確保する。
5.6.1 食材の選定
たこ焼きに必要な食材を選定する。食材候補を下記に示す。
- たこ
- たこ焼き粉
- 水
- 卵
- サラダ油
- たこ焼きソース
- 青のり
- かつお節
- マヨネーズ
5.6.2 食材の調達・管理
選定した食材を調達する。調達した食材は、冷蔵庫に入れ、衛生面を確保する。購入費、レンタル費用のレシートを会計係に提出する
5.7 たこ焼き作成係
現場でたこ焼きを作成する作業を行う。
5.7.1 たこ焼き作成
たこ焼きの調理法の手順書を作成する。
(1)準備
- たこ焼き粉をボウルに入れ、水を少しずつ加えながらよく混ぜる
- 卵を加え、さらによく混ぜる
(2)たこ焼きの準備
- たこ焼き器をあらかじめ熱する
- 温まったら、各穴にサラダ油を適量塗る
(3)生地を流し込む
- たこ焼き器の各穴に生地を流し込む
- タコを適量入れる
(4)焼く
- 生地が少し固まってきたら、竹串やピックで周囲の生地を持ち上げ、90度回転する
- これを繰り返し、全体が均一に焼けるように丸いたこ焼きを作成する
(5)仕上げ
- たこ焼きが黄金色に焼けたら、取り出し、たこ焼きソース、青のり、かつお節、マヨネーズをお好みでかけて完成となる
5.7.2 試食会の実施
試食会を行い、提供するたこ焼きを決定する。
5.8 会計係
たこ焼き屋の出店に必要なお金の管理を行う。
5.8.1 お金の管理
各係からお金の依頼が来た場合は、手配する。その際は、ノートに記載し管理できるようにする。
5.8.2 レシートの回収
支出したお金の領収書をまとめる。
5.8.3 代金の徴収
お客からたこ焼きの料金を徴収し、必要であればお釣りを渡す。
5.8.4 会計報告
文化祭終了時に会計報告を文化委員に行う。
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