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ついに始まった外観検査と生成AIの融合――画像センシング展2024レポート組み込みイベントレポート(2/4 ページ)

2024年6月12〜14日にパシフィコ横浜で開催された「画像センシング展2024」では、さまざまな画像処理機器やセンシング技術の展示が行われた。特に注目を集めたのが、外観検査との融合が始まった生成AIの活用事例だった。

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マシンビジョン用の照明ソリューション

 続いて、マシンビジョン用の照明ソリューションを紹介する。

 照明装置をオーダーメイドで手掛ける初出展のYTHICK(ワイティック)は、同社が得意とする「デフレクトメトリ(deflectometry)」照明と「フォトメトリック(photometric)」照明のデモを行った。人間が光に対して対象物をかざす角度を変えるのと同じことを光学的に処理していると考えられる。

 デフレクトメトリ照明は、縞状の光を当てて欠陥を検知しやすくする手法である。デモシステムは縦横合計2560個のLEDで構成されていて、横4パターンと縦4パターンで発光させてそれぞれを撮影し、それらを画像処理することで、見つけにくい欠陥を浮かび上がらせる仕組みになっている。

 一方、フォトメトリック照明は、対象物を囲うように配置したリング状の照明から、光を順に当てて、対象物の欠陥を浮かび上がらせる手法だ。

 いずれも点灯パターンは任意に設定できる他、顧客のニーズに応じたカスタマイズにも対応する。

YTHICKのデフレクトメトリ照明
YTHICKのデフレクトメトリ照明。白い長方形のアクリルケースの中に2560個のLEDマトリクスが内蔵されていて、例えば横4パターン、縦4パターンで発光させることで、対象物の欠陥をより明確に浮かび上がらせる[クリックで拡大]
フォトメトリック照明のデモ装置
こちらはフォトメトリック照明のデモ装置。対象物を囲むように照明が組み込まれていて、順に発光させることで、対象物の欠陥をより明確に浮かび上がらせる仕組みだ(全ての発光を収めるためにスローシャッターで撮影したことでブレが発生しています。ご了承ください)[クリックで拡大]

 同じく初出展のシンクロアは2011年設立の企業である。手術室で使われる無影灯などの医療用照明装置の開発からスタートした後、2019年からは外観検査用の工業用照明装置を提供している。今回は産業機械商社である南陽のブースでデモを行った。

 まず目を引いたのが大面積パーティクル可視光検査照明装置「L-FRONT」である。直径300mmまでのウエハーの不純物や欠陥の目視検査に特化した装置だ。「PHASERAY」と名付けた光干渉テクノロジーが特徴であり、実際にウエハー上のホコリや指紋が明確に浮かび上がっていた。

 PHASERAYを用いた照明装置は、基板検査や金属部品の外観検査にも有効で、反射やぎらつきが生じないため、今まで分かりにくかった欠陥や異物に加え、凸部の読み取りが難しかった金属部品などの検査の高精度化が実現できる。また、液体内の細かい気泡を光学的に見えなくする性質もあるそうで、例えば薬品用バイアルの検査において、内部の液体で発生した泡が消えるのを待つことなく異物の検査を進められるといったメリットもあるそうだ。

 不思議な性質を持つ同社のPHASERAY照明は、その特徴が認知されるにつれて、自動車用の金属部品やシート用皮革の検査をはじめ、さまざまな業界で導入が進んでいるという。

独自の光干渉テクノロジーを用いた大面積パーティクル可視光検査照明装置「L-FRONT」
独自の光干渉テクノロジーを用いた大面積パーティクル可視光検査照明装置「L-FRONT」。ウエハーに付着している微細なホコリが明瞭化されている[クリックで拡大]
基板検査に適用した例
基板検査に適用した例。レジストや銅箔パッドによる反射やぎらつきが発生していない。光沢のある円筒状の金属部品などの外観検査にも適するという[クリックで拡大]

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