地産地消にこだわる三菱電機のエアコン事業、その中心拠点のモノづくり力:メイドインジャパンの現場力(3/4 ページ)
国内での開発/製造一体体制により強みを発揮する三菱電機のエアコン事業。その中心拠点である三菱電機 静岡製作所のモノづくりの強みについて紹介する。
自動化と人手生産のバランスを取りながら効率化と品質を実現
製造においては、「生産方式」「生産設備」「技能者」「全品検査」の4つの点で、自動化やDX(デジタルトランスフォーメーション)を取り入れながら、高度化に取り組んでいる。
ルームエアコンは室内機と室外機に分かれているが、室外機は筐体内に圧縮機や熱交換器、モーターや駆動させるファンなどの部品で構成され、これらを正しく熱交換できる形でロウ付けなどを行いながら組み立てていく。室内機は、送風を行うラインフローファンや熱交換器、フィルター、基板パーツなどで構成され、同じくこれらをろう付けなどを行いながら組み立てる。
静岡製作所では、基本的には共通の主要部品となる熱交換器や、手作業ではばらつきが出がちな室外機の主な工程は自動化を進め、生産性と精度などを両立させている。一方で、製品ごとの違いが大きな工程や、ろう付けなど人手でなければ難しい工程などを、ベルトコンベヤー型の混流ラインとして人手作業で行っており、必要部品を並行して流すキット生産方式を採用している。さらに、高級機種でバリエーションの多い機種については、台車によるセル生産方式を採用しており、生産数やバリエーション、精度や必要技術などを組み合わせながら、最適な生産方式を採用できるようにしている。
室外機の製造工程は自動化と人手作業の両立で効率化
室外機の製造ラインでは、底板となるベースに防振ゴムや圧縮機を取り付けるところまでは完全に自動化を実現している。圧縮機は3点でナットの締め付けを行うが、3点を均一の力で締め付けなければ、圧縮機の振動が抑えられずに、音の問題や耐久性の問題などが発生してしまう。そこで、完全に均一な力でナットを締めることができる自動化装置を導入し、作業品質を確保している。
一方で熱交換器のろう付け作業は自動化が難しく人手作業の方が適しているため、熟練の技能者による作業としている。その後の工程は、機種ごとの差異が大きくなるため、混流ラインによるキット生産方式で組み立てていく。
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