生成AIネイティブ世代はAIと人間の共進化から生まれ「BYOAI」とともに生きる:人工知能ニュース(1/3 ページ)
アクセンチュアが、世界のテクノロジートレンドに関する最新の調査レポート「Technology Vision 2024(テクノロジービジョン2024)」について説明した。生成AIによって人間とテクノロジーの関係性が大きく変化しており、AIと人間の“共進化”が最新トレンドになっているという。
アクセンチュアは2024年5月27日、東京都内とオンラインで会見を開き、世界のテクノロジートレンドに関する最新の調査レポート「Technology Vision 2024(以下、テクノロジービジョン2024)」について説明した。
同社のテクノロジービジョンは2000年から毎年発行されてきた。今回は、学界、ビジネス界、公共部門にまたがる20数人の専門家からなる外部アドバイザリーボードから知見を収集するとともに、2023年10〜11月に世界20カ国で実施された、21業界の幹部クラス3450人と2万人以上の消費者を対象とした調査も内容に含まれているという。
2023年からの生成AI(人工知能)への高い注目が続く中、今回のテクノロジービジョン2024のテーマとなったのは「Human by Design」だ。アクセンチュア日本法人 テクノロジー コンサルティング本部 インテリジェント ソフトウェアエンジニアリングサービスグループ 共同日本統括 兼 クラウドインフラストラクチャーエンジニアリング日本統括 マネジング・ディレクターの山根圭輔氏は「この日本語訳については『人間性を組み込む』としたが『新たにデザインされた人間性』という意味も含まれていると考えている」と語る。
Human by Designが2つの意味合いを持つ背景にあるのが、生成AIとLLM(大規模言語モデル)の急速な進化によって、AIエージェントが“人間性”を持ったバディ(相棒)として人間と並列する存在になってきたことがある。「かつては主役である人間がAIなどのテクノロジーを使いこなす側だったが、今やともに働く存在だ。これによって、テクノロジーがより人間らしくなるという観点の『人間性を組み込む』、人間の能力がテクノロジーで拡張されるという観点の『新たにデザインされた人間性』という双方向の変化が生まれており、テクノロジーによるAIと人間の“共進化”が最新トレンドになっているのだ」(山根氏)という。
人間と情報のマッチングはアドバイザーモデルへ
テクノロジービジョン2024では「AIによる出会い(A match made in AI)」「自分専用エージェントとの出会い(Meet my Agent)」「私たちが必要とする空間(The space we need)」「デジタル化された私たちの身体(Our bodies electronic)」という4つのトレンドを取り上げている。
「AIによる出会い」では、人間と情報のマッチングが、検索エンジンを起点に人間が情報を取りに行くライブラリアンモデルから、人間との対話から生成AIが回答を提示するアドバイザーモデルに移行しつつあることを指摘。このアドバイザーモデルでは、企業が自身のナレッジを有効活用するには、AIエージェントの基盤となるLLMについて、独自開発やファインチューニング、RAG(検索拡張生成)によって差別化するアプローチが必要になるとした。
アドバイザーモデルへの変化は、企業がデータ主権を取り戻すチャンスになるものの、ハルシネーションや入力情報の漏えい、倫理違反(不適切表現)、著作権侵害といった生成AI活用におけるリスクにも目を向ける必要も出てくる。
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