経産省と国交省がモビリティDX戦略、「多様なSDV」が日本の武器に:車載ソフトウェア(2/4 ページ)
経済産業省と国土交通省は令和6年度モビリティDX検討会を開催し、「モビリティDX戦略(案)」を発表した。
車両の開発と設計を抜本的に刷新した結果生まれるのが、SDVだ。ソフトウェアを起点とした車両の開発が加速し、開発工数の大幅削減や開発のスピードが向上。ソフトウェアのアップデートや自動運転技術の融合などで新しい価値提供が実現するとしている。既に海外の一部企業がSDV化を進め、無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)でビジネスを開始している。異業種の参入もあり、SDV市場における国際的な競争力確保を課題に挙げている。
人流/物流サービスの持続的な提供が喫緊の社会課題となる中、モビリティサービスの社会実装に強く期待が高まっているとする。さまざまな取り組みが世界中で進展するがビジネスモデルの確立には至っていないとみている。少子高齢化など課題が先行する日本において早期にビジネスモデルを確立することで、国内の課題解決に貢献するとともに、海外に展開可能なビジネスに結び付く可能性もあるとしている。
データの利活用では、自動車の製造、利用、廃棄までのライフサイクルに存在する無数のデータを統合的に把握することで、サプライチェーンの強靭化や他のビジネスでのデータ活用など新たな価値創造につなげると期待されている。欧米では企業の枠組みを超えてデータ連携基盤を構築する取り組みが活発化しており、今後は価値の大きな源泉になる可能性があるという。
海外では、これらの領域で新興企業が台頭したり、スピード感のある投資が活発化したりしている。日本の企業もこれらの領域に取り組む一方で、既存の事業での収益確保との両立も求められており、資金や人材など開発リソースが不足しているとする。日本の企業がこれらの領域での競争に勝つため、モビリティDX戦略では目指すべき目標と実現に向けたロードマップを策定し、官民のリソースを結集して取り組む。
これらの領域で取り組みを加速し、継続的に進めていく上では、モビリティDXの競争で戦う社会全体の基盤も重要だとしている。官民の取り組みを可視化して発信し、認知度を向上させて機運を高めるコミュニティーを形成し、その中でソフトウェア人材の獲得や育成、企業の情報共有や連携の促進などを後押しする。特に重要な領域の人材を明らかにした上で、人材育成を目的としたリスキル講座認定制度や、人材獲得や発掘を目的とした自動運転AIチャレンジなどの取り組みを推進していく。
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