「金融勘定」を見れば国内経済のお金の流れが分かる! 資金融通の推移を調べよう:イチから分かる! 楽しく学ぶ経済の話(8)(2/5 ページ)
勉強した方がトクなのは分かるけど、なんだか難しそうでつい敬遠してしまう「経済」の話。モノづくりに関わる人が知っておきたい経済の仕組みについて、小川さん、古川さんと一緒にやさしく、詳しく学んでいきましょう!
家計の金融勘定
実際に部門別で金融勘定の統計データを見てみましょう。まずは家計部門です。
差引の資金過不足が増える方をプラス、減る方をマイナスとして表現しています。資産側の項目と負債側の項目があり、それぞれが増えたり減ったりしますのでご注意ください。資産側の項目は青や緑系、負債側の項目は赤や茶、黄系としています。
つまり、各年で金融資産が増えたり負債が減ったりしたらプラス側、負債が増えたり金融資産が減ったらマイナス側に計上されるということですね。
その通りです。上のグラフを見ると、2000年から2012年頃まで、負債側の借入(赤)がプラス側に記録されていますね。
本当だ! ということは、この期間、家計は借入を減らしていたのですね。逆に、1995年から2015年あたりまでで資産側の債務証券を減らしているという挙動が見られます。
他の先進国のデータを見る限りでは、一般的にどの部門でも金融資産を減らしたり、負債を減らしたりする挙動はよほどのことがない限り観測されません。日本の場合は、長期にわたってこのような挙動が確認されます。
これから確認するデータでも注意していきたいポイントですね。
もう少し中身を見てみると、1990年代後半までの純貸出が大きくプラスだった時期は、現金/預金(青)と、年金/預金/定型保証(緑)が多かったようです。負債側もバブル崩壊までは増やしていますが、1990年以降は縮小していますね。
そうですね。バブルが崩壊し、それでも1990年から1997年までは、国内総生産が成長していた時期に当たります。この時期は家計の純貸出も大きいですね。
1998年から2009年頃までが、国内総生産が停滞し、平均給与の減少が続いた時期です。2010年頃から日本経済は回復に向かいますが、それらの時期と家計の金融取引も連動していることが良く分かると思います。
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