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生成AIを前提に通信網やデバイスが変化していく MWC 2024レポート(前編)世界の展示会で見たモノづくり最新動向(3)(1/4 ページ)

この連載ではMONOistとSalesforceのインダストリー専門家が協力して、世界各地の展示会から業界の最新トレンドをお届けします。前回のCES 2024最新動向レポートに続き、第3弾では、2024年2月26〜29日にかけてスペインのバルセロナで開催されたMWC Barcelona 2024から、通信業界の生成AIのトレンドを2回にわたり紹介します。

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 2024年2月26〜29日にかけてスペインのバルセロナで開催された「MWC Barcelona 2024(以下、MWC 2024)」は大盛況でした。パンデミックを経て3年ぶりの開催となった2023年を上回り、出展者は2700社以上、来場者は10万1000人を超えました。モバイルオペレーター以外の参加企業が約6割を占めており、さまざまな事業でモバイル通信がなくてはならない存在となり、エコシステムが拡大している現状が浮き彫りになりました。

 ChatGPTの登場から1年以上が経過し、通信業界でも生成AI(人工知能)の検討/活用が大きく進展しています。こうした状況もあり、MWC 2024はまさにAI一色でした。基調講演を含む40以上のセッションのテーマに生成AIをはじめAI関連技術が取り上げられ、展示会場では生成AIを搭載したオンデバイスAI(PCやスマホ上で動かすAI)、AIを活用したロボットなどに人だかりができていました。具体的な取り組みの内容を紹介する企業が多く、既に効果が出ている事例もありました。イベント全体を通して、通信業界の生成AIは試行フェーズから本格利用にシフトしている、という印象を受けました。

 前後編に分けてお伝えするMWC 2024のレポートでは、通信業界における生成AIのトレンド、活用状況、課題などに触れ、今後の通信業界での生成AIの展望について考察します。

⇒「世界の展示会で見たモノづくり最新動向」のバックナンバーはこちら

通信業界における生成AIのトレンド

 まずは、基調講演やその他セッション、展示会場での発表やデモの内容を踏まえて、主要なトレンドを紹介します。

エッジ側でのAI処理:オンデバイスAI

 最初にエッジコンピューティングの動向を見ていきましょう。MWC 2024ではエッジコンピューティングやオンデバイスAIなど、生成AIの処理をクラウド側のみに頼るのではなく、ユーザーが使うデバイスなどエッジデバイス上にシフトするというテーマの講演や展示ブースが数多く見られました。

 例えば、MWC 2024のスペースの1つである「コネクテッド インダストリーズ(Connected Industries)」の講演で、Qualcomm TechnologiesでGroup General Managerを務めるアレックス・カトゥージャン氏は、端末の処理能力を高めて、70億規模のパラメーターのLLMを端末に搭載して生成AI処理を実施できるようになったと発表しました。約1年前には端末で20秒程度かかっていたStable Diffusionの処理が、現在は1秒以下で可能になったそうです。

 また、Dell Technologies CEOのマイケル・デル氏は基調講演の中で「データもAI処理もクラウドもエッジにシフトしている」と語り「仮想化が進むことで、通信ネットワーク全体がクラウドのようになる」という、エッジコンピューティングによるCloud Transformationの世界観を共有しました。ネットワークの仮想化やエッジコンピューティングは既に各所で進められている取り組みではありますが、生成AIの登場により、この取り組みが今後加速するのではないでしょうか。

Qualcomm展示ブースのAI搭載PC
Qualcomm展示ブースのAI搭載PC[クリックして拡大] 提供:Salesforce

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