検索
特集

オートデスクのプラットフォーム戦略とAI活用について日本のキーマンに聞いたメカ設計インタビュー(4/4 ページ)

近年、オートデスクが展開を強化している「Autodesk プラットフォーム」と「Autodesk AI」の詳細について、日本のキーマンであるオートデスク 日本地域営業統括 技術営業本部 業務執行役員 本部長の加藤久喜氏に話を聞いた。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

「Autodesk プラットフォーム」の差別化ポイントは?

――最後に、競合各社がプラットフォーム戦略を推し進める中、「Autodesk プラットフォーム」の差別化ポイント、オートデスクの強みはどこにあるとお考えですか?

加藤氏 冒頭に述べた通り、オートデスク=AutoCADの会社、=Inventorの会社、=Revitの会社といった立ち位置から脱却し、われわれは“デザインと創造(Design&Make)のプラットフォームカンパニー”に生まれ変わろうとしている。

 3D CADやPLM業界として、各社が同じようにプラットフォーム戦略を打ち出している中、オートデスクとして強みを発揮できる差別化ポイントは3つあると考えている。

 1つ目は「オープン性」だ。Autodesk プラットフォームの説明の中で、ソフトウェア固有のファイル形式に縛られることなく、ファイルが意味のある情報の単位に分解されて粒状データとしてオープンに扱えるようになることを紹介した。さらに、オートデスクの製品やサービスだけでなく、外部のさまざまなITソリューションとつなぐことができる点、サードパーティーがAPIを活用して開発したアプリケーションなどを利用できる点など、Autodesk プラットフォームを中心とした、オープンなエコシステムを構築できるのもわれわれの強みといえる。

「Autodesk プラットフォーム」の競合優位性について語る加藤氏
「Autodesk プラットフォーム」の競合優位性について語る加藤氏

 2つ目は「業務の連続性」だ。現在の業務プロセスや使用しているソフトウェアを変えることなく、また業務を止めることなく、最先端のプラットフォームやAIのメリットを享受できる点がAutodesk プラットフォームの強みの一つだ。また、ファイルのやりとりを基本とした従来の業務のやり方ではファイル管理によるさまざまな弊害やデータのサイロ化が生じるが、Autodesk プラットフォームであれば、必要な情報だけを、必要なときに、すぐに取得できる。

 そして、3つ目は「業界をまたいだ相互運用性」だ。オートデスクでは主に、製造、建築/建設、メディア&エンターテインメントの3つの業界に特化して製品やサービスを展開してきた強みを持っている。それは単に業界固有の機能を個別に提供できるという強みだけでなく、3つの業界で共通するプロセスや課題を見いだし、例えば、建築/建設分野で使われている機能やテクノロジーを、製造分野に適用、融合して課題を解決するといったアプローチがとれることを意味する。これは、3つの業界が同じ基盤の上で1つにつながっているAutodesk プラットフォームだからこそ実現可能なことであり、オートデスクの強みを発揮できるポイントだといえる。

 こうしたプラットフォームがあるからこそ、製造現場のデジタルツインを実現して生産性向上に役立てたり、デジタル上で工場内における生産設備のレイアウト検討を行ったり、さらにXRを組み合わせてそれらをより詳細に検証したりといったことが容易に行える。また、業界をまたいだ新たなアプローチとして「Autodesk Informed Design」を2024年2月に発表した。これはAutodesk プラットフォームを活用したソリューションであり、設計と施工を接続し、製造分野の知見を建築設計、建設工程に応用する“工業化建築(建物の一部を工場であらかじめ製造しておき現場で組み立てる工法)”を可能にするものだ。住宅危機やサステナビリティへの対応が迫られる建設業界の助けになると確信している。

オートデスクは設計と施工を接続して工業化建築の実現を支援する「Autodesk Informed Design」を発表
オートデスクは設計と施工を接続して工業化建築の実現を支援する「Autodesk Informed Design」を発表[クリックで拡大] 出所:オートデスク

 Autodesk プラットフォームの活用は海外で先行しているが、今後の日本市場における展開も大いに期待している。Autodesk プラットフォームを活用すれば、より良いデザインの実現とより多くの創造する機会を得ることができ、ビジネスを成功に導いてくれるだろう。プラットフォームがもたらす価値をAutodesk プラットフォームを通じてぜひ感じてもらいたい。

⇒ 「メカ設計インタビュー」のバックナンバーはこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る