製造業も強い関心 NTTが独自LLM「tsuzumi」のソリューションサービス提供開始:製造ITニュース(1/2 ページ)
NTTは2024年3月25日、独自開発した大規模言語モデル「tsuzumi」を活用した、生成AIのトータルソリューションサービスを提供開始した。
日本電信電話(NTT)は2024年3月25日、独自開発した大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi」を活用した、生成AI(人工知能)のトータルソリューションサービスを提供開始した。企業の固有データに合わせた業務自動化や効率化、高度化を実現する。
導入後まで一気通貫で生成AI活用支援
tsuzumiはNTTが独自開発した大規模言語モデルで、モデルのパラメータサイズの軽量さや日本語処理性能、図表やイラストの読解性能の高さなどを特徴とする。ラインアップの1つである「小型版」は70億パラメータで、GPT-3の約25分の1のサイズとなっている。
今回提供するtsuzumiのソリューションサービスでは、NTTグループ全体でチームビルディングや課題抽出、タスク選定、PoC(概念実証)、AIリスク評価から、開発や運用モニタリング、ユーザー評価やデータ分析まで一気通貫でサポートする。導入後には効果検証しながら学習データの見直しやチューニング方法の変更、回答精度を調整するといったカスタマイズメンテナンスも併せて提供する。
利用環境はパブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミス環境から、ユーザー企業の状況に合わせて選択できる。
3つのソリューションを提供
今回、NTTが提供を開始するのは、「CXソリューション」「EXソリューション」「IT運用サポートソリューション」の3種類のソリューションだ。
「CXソリューション」は金融や小売り、サービス、流通業界などの顧客接点において、顧客体験(CX)を向上させる形でtsuzumiを提供する。具体的にはコンタクトセンターのオペレーション業務支援や、生成AIで生成した架空の人間による「バーチャルコンシェルジュ」などが挙げられる。
コンタクトセンターの業務支援では、顧客対応マニュアルなどの自動検索結果に基づくオペレーター支援や、顧客対応後に行う応対内容の要約作業の自動化、対応履歴からの想定FAQや会話サンプルの自動作成などでtsuzumiを活用する。すでに東京海上日動火災保険などでトライアルを行っている。
バーチャルコンシェルジュは架空の人間のCGモデルにtsuzumiを組み合わせて、動作や音声、表情を付けたものだ。リアル店舗では顧客属性に応じた商品案内や注文受付などを行い、Web上でもより人間らしい対応が可能なbotとして活躍することを見込む。人間の代わりに夜間や土日の対応も可能なため、機会損失を防げる。
バーチャルコンシェルジュは2023年に開催された「FIBA バスケットボール ワールドカップ2023」に導入されて、来場者の案内に用いられた事例がある。国内ではドラッグストア「セイムス」を展開する富士薬品と共同で実証を行っている。
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