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生成AIを第2のWindowsにしたいマイクロソフト、Copilotパートナーを拡大製造マネジメント インタビュー(2/3 ページ)

マイクロソフトは「Microsoft AI Tour-Tokyo」を開催した。本稿では、マイクロソフト エグゼクティブバイスプレジデント兼チーフマーケティングオフィサーの沼本健氏の基調講演と、その後に行われたメディアラウンドテーブルの内容を紹介する。

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ユーザーのアプリケーションをCopilotにより強化

 マイクロソフトでは、Copilotサービスをマイクロソフトの業務アプリケーションと組み合わせて、機能強化を進めていくだけでなく、パートナーシップによりユーザー企業のアプリケーションにおいて独自の“Copilot”を構築し、サービス強化を支援する。独自のCopilotを作成するための「Copilot stack」を用意し、具体的には生成AIによるチャットサービスや、インテリジェントな分析、コンテンツ生成、顧客対応の自動化などの機能を付加することができるという。「これらの機能を既存のアプリケーションに追加することができる他、新規アプリケーションの開発にも使える。独自でAI機能を開発するのに比べると圧倒的に早くこれらの機能が実装できる」(沼本氏)。

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独自のCopilotサービスを構築するためのCopilot stack[クリックで拡大] 出所:マイクロソフト

 マイクロソフトでは既に日本においても150社以上の企業とパートナーシップを結び、AIトランスフォーメーションを推進しているが、パートナーとの提携により業界固有のワークフローや独自データに対するコネクターやプラグインの提供、カスタムビルドのAIソリューション提供の支援などを進めている。

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マイクロソフトのAIパートナー[クリックで拡大] 出所:マイクロソフト

AIの安全性や著作権の問題にも対応

 さらに、これらを展開する中で重要になるのが、「AIの安全性」の問題だ。マイクロソフトでは早くからAIの安全性を重視し「公平性」「プライバシーとセキュリティ」「透明性」「信頼性と安全性」「包括性」「説明責任」という6つの原則と17のゴールを定めている。

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マイクロソフトが訴える「AIの安全性」についての取り組み[クリックで拡大] 出所:マイクロソフト

 さらに生成AIについては、学習データをどこから持ってきているか分からないことが懸念されており「気付かない間に著作権を侵害する可能性」が問題視されている。マイクロソフトではこうした不安を払拭(ふっしょく)するため「Copilot Copyright Commitment」を整備。学習データについての著作権の問題について、マイクロソフトがユーザーに成り代わって責任を負うサービス「Customer Copyright Commitment for Azure OpenAI Service」なども用意している。

 沼本氏は「AIの展開において重要なのが『信頼』だ。AIを活用していくのにデータの蓄積とそれらを活用した学習は欠かせないが、そのデータは企業としての機密情報の場合もある。Microsoft Cloudではもともと、顧客データはあくまでも顧客のものだと位置付けており、許可なく基盤モデルのトレーニングに利用しないことを明言している。また、預かった顧客データは包括的な企業コンプライアンスとセキュリティ制御によって保護している。加えて、AIについてもセキュリティやプライバシーの問題とともに、著作権の問題についても対応する。こうした信頼性が重要だ」と述べている。

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マイクロソフトのCopilot Copyright Commitment[クリックで拡大] 出所:マイクロソフト

 沼本氏は「AIに限った話ではないが、新たな技術の採用についてうまくいかないのは、技術以外のことが問題である点が多い。マイクロソフトでは、AI活用の準備に向けた5つの柱として、事業戦略、技術戦略、AI戦略と体験、組織と文化、AIガバナンスを位置付けており、これらの支援についても併せて行い、AIトランスフォーメーションを包括的に支えていく方針だ」と語っている。

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