フローで考えるモデリング 〜さまざまな現象を統一的に扱う方法〜:1Dモデリングの勘所(28)(2/4 ページ)
「1Dモデリング」に関する連載。あらためて、モデリングの原点に立ち返り、物理量のフローをたどることにより、電気、熱、流れ、音振動といった現象を、同じような手順でモデリングする方法を解説する。連載第28回では、電気、熱、流れ、音振動のフローと、それぞれの物理式について取り上げる。
現象をフローで考える:流れおよび熱の場合
連載第5回でも述べたように、電気、流れ、熱に関する変数および要素に関しては、表1に示す関係が成り立つ。
つまり、流れおよび熱に関する現象に関しては、表1の対応に従って、電気の場合(図1)と同様の手順を踏み、フローに基づいて図で表現した後に、そこから式を定義すればよい。
流れの場合には、次式が成り立つ(この式の導出については以降の連載の中で説明する)。
ρ,l,Aは、流れ部分のそれぞれの密度、長さ、断面積、Rは流路抵抗、V,Kは容積部分の体積と体積弾性率、qは流量、pは圧力である。表1から、流れの場合は流量がフローであり、流れに関する現象のある部分をフローに即して図で表現すると、図2となる。
図2を式で表現すると、流量の連続の条件(電流則)から、
となり、各要素の流量(フロー)と圧力(ポテンシャル)の関係(電圧則)から、
が成り立つ。
同様に、熱の場合は次式が成り立つ。
Gは熱コンダクタンス、Cは熱容量、Qは熱量、Tは温度である。表1を見て分かるように、熱に関してインダクティブ要素は存在しない(あるいは、確認されていない)。表1から、熱の場合は熱量がフローであり、熱に関する現象のある部分をフローに即して図で表現すると、図3となる。
図3を式で表現すると、熱量の連続の条件(電流則)から、
となり、各要素の熱量(フロー)と温度(ポテンシャル)の関係(電圧則)から、
が成り立つ。
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