静的テストだけではなくならない脆弱性、多層的テスト手法が大きな効果:IoTセキュリティ(2/2 ページ)
日本シノプシスが、同社が行ったソフトウェア脆弱性に関する調査レポートについて説明。ソフトウェアやアプリケーションから脆弱性が検出される割合が2020年の97%から2022年には83%となり、減少傾向にあることが分かった。
脆弱性の要因として「設定ミス」が増加
また、重大度の高い脆弱性の発見には、ペネトレーションテストや動的テストを用いた多層的なテストが有効なことも分かった。2020〜2022年にかけて重大度が緊急(Critical)や高(High)といった脆弱性が増加する中で、多層的なテストによる脆弱性の減少率は28〜77%と幅はあるものの確実に減少している。なお、脆弱性の重大度の定義はCVSS v3ベースになっており、CVSS v2の3段階から5段階に増えている。最上位の緊急と2番目の高の脆弱性はリスクが高く、その半数以上が報告から1週間以内で悪用されているため、一刻も早い修正が必要だ。
脆弱性カテゴリーのトップ10の推移では、1位が情報漏えい、2位がサーバ設定ミス、3位が不十分なトランスポート層の保護で変わらないものの、アプリケーションの設定ミスが2020年と2021年の9位から2022年には5位に上がっている。2位のサーバ設定ミスと合わせると、設定ミスが大きな要因になりつつあることが分かる。
脆弱性が緊急のトップはSQLインジェクション、高のトップはクロスサイトスクリプティングとなっている。また、シノプシスの他の調査レポートでも言及されているように、サードパーティー製ソフトウェアやOSS(オープンソースソフトウェア)も脆弱性のリスク要因になっているという。
これらの調査レポートの結果から「多層的なセキュリティアプローチの導入」「自動セキュリティテストとマニュアルセキュリティテストの併用」「バッチ管理を優先的に行う」「強力なアクセス制御を行う」「ソフトウェア開発ライフサイクルにSBOM(ソフトウェア部品表)の生成を組み込む」「セキュリティテストの補完の必要性」「専門家によるオンデマンドのセキュリティテストでチームを強化できるベンダーを選択」という7つの提言を行っている。
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