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イチから全部作ってみよう(2)ワインのECサイトを作るためにイメージを深めよう山浦恒央の“くみこみ”な話(171)(1/3 ページ)

ECサイトを題材にソフトウェア開発の全工程を学ぶシリーズ「イチから全部作ってみよう」。第2回は準備編として、開発対象となるワイン販売用のECサイトのイメージを深める。

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1.はじめに

 前回から、入門者をターゲットとしてソフトウェア開発の最初から最後までの一連の業務を学ぶ「イチから全部作ってみよう」というシリーズを始めました。これは、新しいソフトウェアのアイデアを思い付き、それを掘り下げ、アイデアを要求仕様書として作成し、機能を分割し、処理方式やデータ構造を決めて設計書を作成し、コーディングし、デバッグやテストを実施し、リリースするまでの全ての作業を含みます。開発対象としては、オンラインで商品を購入する「ECサイト」を取り上げます。

 これまでの記事を見てない方は、前回の連載第170回をご参照ください。

 今回は、開発対象であるECサイトのイメージを掘り下げます。

⇒連載「山浦恒央の“くみこみ”な話」バックナンバー

2.いろいろなソフトウェア

 世の中には、さまざまなソフトウェア製品が存在します。特に、皆さんにとって欠かせないものはスマートフォンでしょう。スマートフォンは、手のひらサイズのコンピュータ※1)で、音声通信、メールの送受信、Webブラウジング、ゲームまで可能です。

※1)真空管時代のコンピュータは非常に大きく、建物全部を占有するほどでしたが、一部屋に収まる程度に小さくなり、さらには、机の上に乗るようになりました。これが「デスクトップ」で、文字通り「机の上」ですね。コンピュータの小型化が進み、持ち運びができて、膝の上で操作可能となります。これが「ラップトップ(膝の上)」ですね。皆さんが持っているPCは、英語では「lap-top」と言うことが多く、「PC」はほとんど使いません(PCでは、デスクトップかラップトップかが分からないためでしょう)。スマートフォンは、手のひらに乗るので「パームトップ」と呼ぶこともあります。手のひらサイズのコンピュータですね。アップル(Apple)のスティーブ・ジョブズ氏は、高性能の電話機ではなく、超小型のコンピュータを意図してスマートフォンを作ったのです。

 スマートフォン以外のソフトウェア製品を考えてみましょう。例えば、会計システム、数値解析ソフト、名刺管理ソフトなど、認知度は低いけれど重要な製品はたくさんあります。皆さんがソフトウェア開発会社に入社すると、見たことも聞いたこともない製品のソフトウェア開発を担当することとなるでしょう※2)。そんな時でも、プロのエンジニアは、必要な知識を学びつつソフトウェアを完成することが求められます。

※2)例えば、証券会社から、日本国内だけでなく海外も含む証券取引を自動化するシステムの構築を依頼されたとします。証券取引は非常に複雑で、ザラ場、ETF、CFD、時間外取引、カバード・コール、先物取引、日経225、S&P500、2年債、信用取引、投資信託、指値注文、逆指値、現物買い、配当落ち、劣後債など、ソフトウェア技術者になじみのない専門用語が満載で、「異世界の専門性」が求められます。エンジニアは、専門外の知識を勉強して一生懸命、理解しようとします。

 一方、証券マンには、コンピュータ系の知識や経験、例えば、マルチプログラミング、状態遷移モデル、リアルタイムOS、セマフォによる資源の排他制御、割り込み、ウォッチドッグプロセス、リレーショナルデータベース、パケット通信、輻輳(ふくそう)などは「異次元世界の知識」でしょう。

 ソフトウェア開発では、証券会社のような発注側と、ソフトウェアを開発する側が、どの程度、お互いの考えやアイデアを理解できるかにより、システム構築の成否が決まります。将来、どんな業界のソフトウェア開発を担当するか分かりません。今から、いろいろな業界に興味を持ってもらえるとうれしく思います。

 今回の開発対象は、ワイン販売用のECサイトです。ワイン販売用のサイトを設計し、構築するには、ある程度、ワイン業界の知識が必要になります。皆さんの中には、ECサイトやワインに詳しくない方もいるでしょうが、証券業務のように複雑怪奇ではありません。そこで今回は、「ECサイト」と「ワイン」とは何なのかを知ってもらう準備編とします。

ワイン
※写真はイメージです
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