現場見学で見せる町工場の底力、静岡初オープンファクトリーへの思い:オープンファクトリーのすゝめ(1)(2/3 ページ)
工場などを一般開放し、モノづくりの魅力を発信するオープンファクトリー。今回は、静岡初のオープンファクトリーイベントとなる「ファクハク 静岡工場博覧会」の実行委員会の皆さんに、地方工場が抱える課題や思いを聞きました。
地方に生きる工場が抱える課題とは?
オープンファクトリーを静岡で開催しようと立ち上がった皆さんに、その背景や抱える課題について伺いました。
〈お話を伺った方々〉
- 長橋健太郎さん/ナガハシ印刷(印刷業)
- 伊豆川剛史さん/伊豆川飼料(肥料メーカー)
- 村田浩康さん/村田ボーリング技研(溶射加工業)
- 山崎かおりさん/山崎製作所(精密板金加工業)
- 阪口せりなさん/ファクハク広報担当
――自社や地方の町工場を見ていて感じる課題や、率直な気持ちを教えてください。
村田さん この会社で働いていることが社員の人生にとってプラスになっているか、ということはよく考えます。会社の知名度もほとんどないのが現実ですし、正直、世間では工場勤務には「3K」というイメージもまだあると感じるんですよね。
そうしたイメージを持つ人にいくら技術の凄さを伝えても「こんなの誰でもできる」といわれてしまうこともあります。その結果、工場で働いていることを人に言いたくないという人もいて……。採用の際にも困ったことがありました。
――具体的にどんな困りごとがありましたか?
村田さん 外部への発信をしていなかった6年ほど前は「親に反対されたから」と内定を辞退するケースがありました。聞くと、もう1社受けていて、そちらは社名の知名度が当社よりも高く、親にその会社にしなさいと言われたということでした。親や恋人からの反対で入社を辞めるケースは度々ありましたね。
山崎さん 当社の場合は「家族経営で大丈夫?」と言われたことがあります。私たちが外へ伝えようとしないと会社のことは伝わらないと感じ、やはり発信が大事だと感じました。
長橋さん 面接や採用活動をしていると「印刷会社って実際には何をしている会社なのか分からない」という声を聞くことがあります。よく分からないまま入社して、イメージと違ったと退職する人や、よく分からないから大手に入った方が安心かなと考える人もいます。これは印刷業に限った話ではなく、中小製造業全体で起こっている話ではないでしょうか。
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