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製造業に広がるメタバース活用、設計/生産/品質管理の事例を見る(後編)デジタルツイン×産業メタバースの衝撃(3)(1/5 ページ)

本連載では、「デジタルツイン×産業メタバースの衝撃」をタイトルとして、拙著の内容に触れながら、デジタルツインとの融合で実装が進む、産業分野におけるメタバースの構造変化を解説していく。

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連載概要と本記事の位置付け

 本連載では、「デジタルツインとの融合で実装が進む産業メタバース」をタイトルに連載として、拙著『メタ産業革命〜メタバース×デジタルツインがビジネスを変える〜』(日経BP)の内容にも触れながら、本連載向けに新たに追加する内容を含めて、産業分野におけるデジタルツインとの融合により実装が進む産業分野におけるメタバースの構造変化について解説していく。

本連載の構成

プロセス産業におけるデジタルツイン

 組み立て産業(自動車/電機など)だけでなく、プラント産業(化学/鉄鋼など)でもデジタルツイン提供が行われている。「加工→搬送→組み立て」など各ラインが個別に存在している組み立て産業と比べて、プラント産業は配管などでラインがつながっている。全体の反応を最適にマネジメントしなければ爆発や火事などの事故を招きかねないため、DCS(Distributed Control System)と呼ばれる制御システムで全体統合/制御を行っている。

 組み立て産業では生産性を予測する上でラインなどのレイアウトをシミュレーションすることが重要だが、プロセス産業においては配管や反応路内など見えない部分の化学反応や状態のシミュレーションも大切になる。この点でシーメンスも幅広いプロセスのシミュレーションを提供している。コロナ禍のワクチン製造においても迅速なライン検討/立ち上げなどにデジタルツインが貢献している。


図1:プラント領域の反応シミュレーション[クリックして拡大] 出所:シーメンス

 また、プロセス産業ではプラントの異常時の対応が現場の熟練ノウハウであり、これらの標準化や技能伝承が求められている。この領域においても、実際に異常時を経験する機会は限定的である。そのためデジタルツインのシミュレーションやメタバース上での仮想体験が重要となる。同社はバーチャル上のプラントで異常事態を仮想体験し、対応をシミュレーション/トレーニングする仕組みを提供することで顧客プラントの安心/安全を支えている。


図2:プラント領域の異常時対応シミュレーション[クリックして拡大] 出所:シーメンス

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