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G-SHOCK 40周年モデルはパッケージもとことんエコ、カシオの環境配慮への取り組み製品開発の舞台裏(2/3 ページ)

2023年で誕生から40周年を迎えたカシオ計算機の耐衝撃ウォッチ「G-SHOCK」シリーズの40周年モデルに採用された“エコパッケージ”の取り組みについて、同社 羽村技術センター 開発本部 開発推進統轄部 第一開発推進部 11開発推進室の工藤之欣氏に話を聞いた。

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「G-SHOCK」40周年モデルに採用されたエコパッケージ

 G-SHOCKの“周年モデル”はファンの中でも非常に人気があり、G-SHOCK本体はもちろんのこと、パッケージにも特別感が演出されている。例えば、2018年のG-SHOCK 35周年の際は、加飾を施して高価な印象を与えるパッケージを採用するなど、その当時のコンセプトやトレンドを踏まえつつ、既成概念にとらわれないパッケージ開発を実践している。今回のテーマであるエコパッケージとは異なる方向性になるが、35周年の際に35本限定で販売された金無垢(むく)仕様のG-SHOCKのパッケージには、何と岩手県の伝統工芸品である南部鉄器の鉄瓶が採用されるなど、パッケージの常識を覆す発想が取り入れられている。

 これに対し、今回のG-SHOCK 40周年モデルに向けたパッケージ開発では、「エコをテーマに『プラスチックの使用量を減らす』『プラスチックと紙は再生材を使う』という2つの目標を掲げ、40周年にふさわしい新たなパッケージ開発を進めていった」と工藤氏は説明する。

 例えば、「太陽フレア」をテーマにしたG-SHOCK 40周年モデル第1弾の「MTG-B3000FR-1AJR」「GWG-2040FR-1AJR」などに採用されたパッケージは、内箱に100%再生プラスチックを、外箱にリサイクルペーパー(印刷はベジタブルインキ)を使用したパッケージとなっている。

G-SHOCK 40周年モデル第1弾の「GWG-2040FR-1AJR」の内箱(左)と外箱(右)
G-SHOCK 40周年モデル第1弾の「GWG-2040FR-1AJR」の内箱(左)と外箱(右)[クリックで拡大]

 もちろん、環境配慮だけでなく、デザイン性も追求しており、内箱についてはG-SHOCKが持つ堅牢(けんろう)/強固といったイメージに合うブロック片のような形状をベースに、あえて一部を削り出したかのような加飾を施すことで武骨さも同時に演出するデザインとなっている。「環境配慮」や「エコ」というと簡素なパッケージに落ち着いてしまいがちだが、エコパッケージでありながらもG-SHOCKらしさと周年モデルの特別感を見事に融合させたパッケージに仕上がっている。

 そこには、工藤氏の時計パッケージに対する強い思いが込められている。「昔はパッケージというと、お客さまが購入したら“すぐに捨てられてしまうもの”という認識が強く、あまり重要視されてこなかった。しかし、時計を購入したお客さまや時計をプレゼントされた人が初めて見て、触れるのはパッケージであり、パッケージを開けて時計を手にするまでのワクワク感を演出できるのは、唯一パッケージにしかできないことだ。パッケージの役割は品質確保や機能訴求だけでなく、時計を通じた体験という観点でも重要なものとなる。そのため、時計のパッケージの企画開発に携わるようになってからずっと『パッケージは単なる箱ではなく、商品(時計)の一部である』ということを言い続けてきた」(工藤氏)

 ちなみに、MTG-B3000FR-1AJR/GWG-2040FR-1AJRなどに採用されたブロック片のような内箱のパッケージデザインは、手作業で石こうを削り、それを3Dスキャンして形状をデータ化し、そこから型を作り、問題なく型から抜けるかどうかなどを検証しながらパートナー企業と協力して実現したものだという。

「GWG-2040FR-1AJR」の内箱のフタを閉じた状態
「GWG-2040FR-1AJR」の内箱のフタを閉じた状態[クリックで拡大]

 さらに、G-SHOCK 40周年モデルのうち「鉱石」をモチーフにした「Adventurer's Stone」(全6モデル)や初号機のデザインを復刻した「DW-5040PG」などに採用されたパッケージは、さらに意欲的なエコパッケージに仕上がっている。外箱、内箱ともにリサイクルペーパーを採用した“完全プラスチックレス”を実現しており、外箱の印刷には環境負荷低減に貢献するベジタブルインキが用いられている。

G-SHOCKの「G」の文字の形をモチーフにした内箱
画像左がG-SHOCKの「G」の文字の形をモチーフにした内箱、右は外箱[クリックで拡大]

 特筆すべきは、パルプモールド成形された内箱の形状で、G-SHOCKの「G」の文字の形がベースとなっている。「カシオは商品を購入されるお客さまの思いを大切にしながら、自分たちの感性も大事にしており、『面白い!』と思ったものに対して積極的にチャレンジする文化がある。G-SHOCKの『G』の形をモチーフにした内箱もカシオらしい素早い意思決定の下、開発が進められていった」(工藤氏)。

 G形状の内箱は一目見ただけでG-SHOCKだと分かる、これまでにない非常に独創的なパッケージとなっている。G-SHOCKの収納はもちろんのこと、「G」の文字の中心部にバンドを巻き付けることができ、店頭のディスプレイなどでインパクトのある陳列が行える。さらに、内箱のロックについても工藤氏が自ら考案した機構を採用するなど、たくさんのこだわりが詰め込まれている。

G-SHOCKの「G」の文字の形をモチーフにした内箱内箱のロック機構は工藤氏が自ら考案した (左)「G」の文字をモチーフにした内箱/(右)内箱のロック機構は工藤氏が自ら考案[クリックで拡大]
内箱を開いた状態横向きにG-SHOCKを収納する (左)内箱を開いた状態/(右)横向きにG-SHOCKを収納する[クリックで拡大]

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