汎用成形機で2色成形が可能に、キヤノンが自社開発の射出装置で新たなニーズ発掘:FAインタビュー(1/3 ページ)
キヤノンモールドは独自開発の小型射出装置と汎用成形機を組み合わせた2色成形システムを開発。2023年からキヤノングループの工場で同システムを量産に投入し、今後は外部に向けて販売もしていくという。開発担当者らに話を聞いた。
キヤノンモールドは独自開発の小型射出装置と汎用成形機を組み合わせた2色成形システムを開発。2023年からキヤノングループの工場で同システムを量産に投入している他、今後は外部に向けて販売もしていく。開発に当たってはキヤノングループとしての強みも生かされたという。開発担当者らに話を聞いた。
製品の高機能化や組み立て工数削減に貢献する2色成形
キヤノンモールドはもともとイガリ金型製作所として東京都葛飾区で創立し、1978年に茨城県笠間市に移転した。2004年にキヤノンの完全子会社になると、2007年にキヤノン、キヤノン化成の金型部門と統合し、社名もキヤノンモールドに変更した。2021年には分散していた本社と6つの工場を集約する形で茨城県笠間市に新工場を開設し、本社・友部事業所(茨城県笠間市)と阿見事業所(茨城県阿見町)の2拠点体制で事業展開、世界各国に金型を出荷している。
友部事業所の工場内は61×42mの無柱空間が4つ並んでいる。柱をなくす一方でクレーンを設置しており、配線や配管は梁の空間に配置した。高さが必要な1階部分を最大限確保しており、工場を集約したことで別々に分かれていた組み立て、成形、測定の工場間移動もなくなった。
2色成形とは、1つの工程やサイクルで異なる2つの材料を組み合わせて一体成形する技術だ。部分的に材料を変えることができる上、金型から組み立て品が出てくるため、製品の一部を滑りにくくしたり、導電性を高めたりするなどの高機能化や、手作業によるパッキンなどの組み立て工数削減などのメリットがある。
一方で、2色成形を行うには2本の射出装置を持つ専用の成形機が必要だった。180度の回転、反転という工程も加わるため通常の成形機より価格は割高となり、設置スペースも大きくなるというデメリットがあった。
今回、キヤノンモールドではロータリー機構付き金型に同社製小型射出装置を付けることで汎用成形機による2色成形を実現した。1つ目の材料を成形した後に、ロータリー機構により型部分が反転し、小型射出装置で2つ目の材料を成形することで2色成形を行う。小型射出装置の大きさは165×330×580mmで重量も約30kgとコンパクトになっており、汎用の成形機に組み込むことができる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.