私たちの給料は「付加価値の分配」の結果、ってどういうことだろう?:イチから分かる! 楽しく学ぶ経済の話(3)(3/6 ページ)
勉強した方がトクなのは分かるけど、なんだか難しそうでつい敬遠してしまう「経済」の話。モノづくりに関わる人が知っておきたい経済の仕組みについて、小川さん、古川さんと一緒にやさしく、詳しく学んでいきましょう!
6つある経済主体
先ほどから家計や企業、政府などが出てきましたが、ここで一度、経済主体※2について説明しておきましょう。
※2:SNAでは制度部門と呼ぶ。
SNAでは経済活動をする主体として、家計、非金融法人企業、一般政府、金融機関、対家計民間非営利団体の5つの国内主体と、海外部門を合わせて6つの区分に分けています※1。
ふむ……、もう少し詳しく教えてくれますか?
まず、家計は私たち一人一人の国民を総合したもの、非金融法人企業は国内の一般的な法人企業です。対家計民間非営利団体は労働組合や政党、私立の学校や宗教法人などで、会員の会費や寄付、補助金によって賄われている非営利団体です。
SNAでは、この制度部門ごとに詳細な統計データを記録しています。制度部門も一覧で見られるようにしてきましょう。
※1:本連載では、特に断りのない限り、非金融法人は企業、一般政府は政府、海外部門は海外と呼称する。
この6つの部門で、経済主体の全てがカバーされるのですね!
ところで、家計の一部に「不動産業として持ち家を運用している」とありますが、これは何ですか?
少し分かりにくいですが、SNAでは「不動産業として自分の持ち家を自分に貸している」と理解します。その分の付加価値が持ち家の帰属家賃として、不動産業の国内総生産に加算されるわけです。そして、分配面では家計の営業余剰として記録されるわけですね。個人企業としての事業の所得は、家計の混合所得に記録されます。
なるほど、事業を行う企業としての側面が家計の一部にもあるわけですね。
1つ質問なのですが、一般政府や対家計民間非営利団体はそもそも非営利なのですから、付加価値は生まれないのではないですか?
それは誤解ですよ。非営利でも、人が働いているのであれば、少なくともその人件費分の付加価値は生まれています。それを表しているのが、まさにこの所得の発生勘定と言えます。
それが雇用者報酬の部分になるのですね。
はい。働く人へのお給料はその制度部門の付加価値の一部として計上され、家計部門への分配として記録されます。非営利団体は概念上、付加価値は生み出しますが、営業余剰は出ないことになりますね。
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