中小製造業もクラウドERPでDX推進、SAPが中小/中堅企業向けを用意:製造ITニュース
SAPジャパンは、中小/中堅企業でも容易にクラウドERPを導入できるオファリングとして「GROW with SAP」を国内で提供することを発表した。
SAPジャパンは2023年7月12日、中小/中堅企業でも容易にクラウドERPを導入できるオファリングとして「GROW with SAP」を国内で提供することを発表した。
新たにSAPジャパンが提供するGROW with SAPは、ビジネスの成長に合わせて拡張できるクラウドERP「SAP S/4HANA Cloud, public edition」を中心に、企業の競争力を高める拡張プラットフォームである「SAP Business Technology Platform」、効率的かつ効果的なプロジェクト進行のためのツールと方法論である「SAP Activate」、最短4週間でプロジェクト環境を構築する日本語対応された「Packaged Activation Services」などのパッケージ製品を組み合わせて提供するものだ。
さらに、中小/中堅企業が抱える独自の課題に対応するため「業界ベストプラクティス」も提供。これにより、製造、小売、サービス業などの業界に応じた業務改革やシステム活用などが可能となる。
中小製造業でも、これらのソリューションを使いこなせるようにパートナーエコシステムなどを通じて、業務の標準化からシステム導入、運用支援などをサポートする。2023年後半には、GROW with SAPの認定パートナー制度を立ち上げることでパートナーエコシステムをさらに強化し、日本市場への浸透を図る方針だ。
SAPジャパン エンタープライズクラウド事業本部 S/4HANA Public Cloud事業部 事業部長の阿部洋介氏は「日本の中小/中堅企業でも人手不足が深刻化する中でDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みは待ったなしとなっている。その中でERPなどについても人員をかけて保守/運用をする時代ではなくなっておりクラウドERPの採用が加速している。GROW with SAPでは、SaaS型ERP導入のノウハウを詰め込んだ方法論を確立しており、導入を支援したり、バージョンアップ時に影響範囲を自動確認するツールを用意したりするなど、中小/中堅企業でも使いやすい形を用意した」と語っている。
NKKスイッチズが先行導入
また、GROW with SAPの先行導入企業としてスイッチメーカーであるNKKスイッチズが導入を進めていることをSAPジャパンのパートナー企業であるアイ・ピー・エス(IPS)が紹介。日本、米国、ドイツ、中国、フィリピンの5カ国に8法人を展開する中で、GROW with SAPにより、SAP S/4HANA Cloud, public editionへと置き換えた。
IPS 常務執行役員 SAPサービス事業部 事業部長の赤松洋氏は「ポイントは『グローバル』と『継続性』だった。グローバルで業務標準化を推進するためと、SaaS型で新たなサービスが随時適用できる点が評価を受けた」と述べている。
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