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製造業にとってオンライン展示会は“使える”のか? コロナ後の可能性を考える間違いだらけの製造業デジタルマーケティング(番外編)(1/2 ページ)

コロナ禍で製造業のマーケティング手法もデジタルシフトが加速した。だが、業界の事情に合わせたデジタルマーケティングを実践する企業は多くない。本連載では「製造業のための正しいデジタルマーケティング知識」を伝えていく。番外編の今回のテーマは「コロナ後の、製造業とオンライン展示会の可能性」だ。

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 製造業にとって、展示会は最も重要なマーケティング手法の1つだ。実際に製品や技術を目で見て、手で触れて、その場で意見交換を行える展示会は製造業との親和性が高い。

 2020年のCOVID-19の流行により、リアル展示会は相次いで中止となった。それに代わり、コロナ禍で主流になったのがオンライン展示会である。だが、社会が落ち着きを取り戻し始めた昨今では、リアル展示会が再び勢いを取り戻しつつあるように見える。

 リアル展示会とオンライン展示会への出展意向を尋ねた、ある調査結果を参照したい。2022年7月に実施されたこの調査では、製造業の今後の出展意向は、リアル展示会が79%にのぼるのに対して、オンライン展示会は34%にとどまっている。


「製造業における今後のリアル・オンライン展示会への出展意向」の調査結果[クリックして拡大] 出所:マーケライズ(2022年9月12日)、PT TIMES

 以下では、コロナ禍以降のオンライン展示会の可能性と課題、そして製造業が今後オンライン展示会をどう活用していくべきかを解説していく。なお、本記事は展示会営業マーケティング 代表取締役社長の清永健一氏に執筆協力を依頼し、インタビューに基づき制作している。

COVID-19によるオンライン展示会の変化

 オンライン展示会の認知度はコロナ前、コロナ禍中、コロナ後で大きな変化を見せた。まずはその変遷をたどっていこう。

コロナ前(Beforeコロナ)

 コロナ前はオンラインでの商談や会議は現在ほど普及していなかった。同様にオンライン展示会も一般的なものではなかった。

コロナ禍中(Withコロナ)

 最初の緊急事態宣言が発令された2020年4月7日よりも少し早い段階の同年2月末から、リアル展示会を含む大規模イベントが開催を見合わせるようになった。製造業にとって展示会の中止は新規顧客獲得の重要な場を失うことに等しい。清永氏も「この頃から、『展示会が中止になってしまった。どうすればよいか』という相談が相次いだ」と振り返る。

 コロナ禍でも製造業の展示会ニーズは依然として高いままだ。それに合わせて、従来のリアル展示会の主催者側から、オンライン展示会の企画やサービスが提供されるようになってきた。このオンライン展示会をサービスとして提供するようになったのが、オンラインメディアやSaaS系サービスの事業会社だ。

 2020年7月からリアル展示会は少しずつ復活してきた。同月22日には国内で「GoToキャンペーン」が始まるなど、リアルイベントの勢いが戻ることに期待を寄せた人もいただろう。だが、非常事態宣言が発令されて、リアル展示会はいつ中止になるか分からない状況となってしまった。このため、リアル展示会の前後1カ月間にオンライン展示会を開くなど、保険のような形で両者を組み合わせる開催形態が生まれた。

 リアル展示会とオンライン展示会を組み合わせたこの形態は、この時期では一般的なものとなった。ここでのオンライン展示会は、リアル展示会を補完する役割を与えられていたといえるだろう。

コロナ後(Afterコロナ)

 2023年になると、次第にCOVID-19の猛威も落ち着きを見せるようになった。オンライン展示会のサービス提供会社はリアル展示会を補完するという立ち位置ではなく、オンライン展示会独自の価値を追求する形でサービスの向上を図るようになっている。

製造業におけるコロナ禍以降のオンライン展示会の可能性

 リアル展示会の再開に伴い、オンライン展示会の影が薄くなりつつあることは否めない。だが、今後伸びていく可能性のあるポイントを把握しておこう。

遠方への出展

 周知の通りオンライン展示会のメリットは、PCやスマートフォンなどの情報端末があれば、いつどこからでも参加できるということにある。出展者にとっても、現地のイベント会場に行かず、全国どこからでも出展できることは大きなメリットだ。

 例えば、海外進出を考える企業は海外展示会への出展を検討することが多い。海外でのリアル展示会へ出展するには、渡航費や滞在費、運送費などかなりの出費がかさんでしまう。しかし、海外でもオンライン展示会であれば参加費を支払えれば出展できる。

 国内でも、地方の企業が東京都や大阪府などの展示会に出展するには多くのコストがかかる。だが、それもオンライン展示会を活用すればコストを抑えることができる。

コミュニケーション方法の多様化

 オンライン上でもコミュニケーションが多様な形でとれるようになりつつある。出展企業の担当者とも気軽に会話が行えるようになっている。

 代表例はチャットツールを用いてのメッセージのやりとりだ。リアル展示会では説明員にささいなことでも気軽に質問できる。だがオンライン展示会でもチャットツールが導入され、簡単な質疑応答を通じて疑問点をその場で解決できるようになっている。

 一定の時間をしっかりと確保して、商談を行いたい場合もあるだろう。オンライン展示会の中には、1on1のオンラインミーティングを予約して、Zoomなどの会議ツールを用いて相手の顔を見ながら商談を進められる仕組みを持つものもある。

VRの活用

 オンライン展示会の可能性を最も引き出し得るのが、VR(仮想現実)ツールだ。製品の3Dデータを仮想空間で閲覧できるようになれば、設備機器や製品の使用イメージをより実感を持って把握可能になる。VRによる味覚/嗅覚/触覚の再現が一般化するのは少し先になるかもしれないが、リアルの感覚をVR空間で体感できれば、オンライン展示会のポテンシャルはより一層高まるだろう。

 VR空間ではリアルではできないような表現も可能になる。リアルでは展示会場に搬入できない、運搬が難しいほど大きな機器を目で見て確認できる。人間の立ち入りが困難な環境下で設置する機器の設置、運用イメージを把握するのにも使えるだろう。

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