急回復する航空エンジン整備需要を取り込め、工場拡張の三菱は日本品質で勝負:工場ニュース(1/3 ページ)
三菱重工航空エンジンは小牧北工場で拡張したエンジン整備工場のオープニングセレモニーを行った。
三菱重工航空エンジンは2023年3月7日、小牧北工場(愛知県小牧市)で拡張したエンジン整備工場のオープニングセレモニーを行った。
既存の建築面積1万1600m2、延べ床面積3万2100m2の航空エンジン整備工場に対して、建築面積で1600m2、延べ床面積で約2500m2増床し、作業エリアを2割拡張した。
三菱重工航空エンジン 代表取締役社長の牛田正紀氏は「航空業界の需要もかなり戻ってきており、新型の航空エンジンも市場に投入されている。そのため今、整備をする会社が世界中で必要になっている。増築を機にわれわれの整備能力を拡張して、世界中から航空エンジンを日本に引っ張り込み、事業を展開していきたい」と意気込みを語る。
数字上はそれほど大きな拡張には見えないが、意味は大きい。カシオ計算機から購入した既存の建物は3階建ての構造になっており、整備時に航空エンジンを分解するために必要な天井の高いスペースが少なかった。
今回の工場拡張では、既存エリアにエンジンの分解、組み立て、検査などの人手作業を集約。増築エリアには、既存エリアに置かれていたバランス作業や研削などを行う大型設備を集約してエンジンの分解などを行う作業エリアを広げた。これらの施策により、効率的な整備エリアを実現している。
民間航空エンジンの整備台数は現状の月5〜6台から2026年までに月10台以上に、さらに2030年ごろには月15台へと増産を目指す。同時に整備士の育成を進めて、現状の約120人から2026年には200人以上に増員を図る。
また、回転時の振動などを測るバランスマシンは2台増設する。増築部分の2階は部品をそろえるキット作業への特化などで生産性を高める。機械設備や建設費も含めると投資額は数十億円という。
現在は主にエアバスA320搭載の「V2500」、ボーイング747搭載の「PW4000」の整備を行っており、2022年からはエアバスA320 Neo搭載の「PW1100G-JM」の整備も実施している。エアバスが今後A320neoの段階的な増産を計画していることから、同機に搭載されるPW1100G-JMの運航台数とそのMRO(整備、修理、オーバーホール)需要は今後数年間で倍増する見通しとなっている。
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