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NECが量子コンピューティングをプリント基板生産計画立案に活用、工数9割減見込むFAニュース(1/2 ページ)

NECは量子コンピューティング技術を活用した生産計画立案システムを構築して、生産子会社であるNECプラットフォームズの事業所における表面実装(SMT)工程に本格導入すると発表した。

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 NECは2023年1月20日、量子コンピューティング技術を活用した生産計画立案システムを構築して同年3月から生産子会社であるNECプラットフォームズの福島(福島県福島市)、白石・米沢(宮城県白石市)、大月(山梨県大月市)、掛川(静岡県掛川市)の各事業所における表面実装(SMT)工程に本格導入すると発表した。

複雑な条件をはらむ多品種少量の混流生産ライン

 SMTラインはプリント配線板の上に液状のはんだを印刷する印刷工程、はんだの上に半導体やチップ部品をはじめとするさまざまな部品を数百〜数千個高速に実装する部品実装工程、部品を搭載した基板ごと高温の炉に通してはんだ付けを行うリフロー工程の大きく3つの工程から成り立つ。

 NECプラットフォームズでは、1つのSMTラインで1日に約30品種もの製品を生産する混流生産をしており、品種の変更の際にははんだの種類や数百種ある部品、熱のかけ方など製造条件の設定を変更する段取りが発生する。

 段取りはラインを停止して行うため、日々異なるオーダーに対して高い生産性を維持するには、効率的な順番で生産することで段取りにかかる時間を短縮し、設備稼働率を高める必要がある。例えば同じ品種を生産し続けて段取りが発生しないようにしたり、同じはんだや部品を使う共通性の高い品種を連続して作ったりすることで作業自体を減らしていく必要がある。そこで重要になってくるのが生産計画だ。

混流生産のイメージ切り替え時に発生する段取り 混流生産のイメージ(左)と、切り替え時に発生する段取り(右)[クリックで拡大]出所:NEC

 熟練者は生産効率や納期などさまざまな制約条件を加味しつつ、毎日1〜2時間かけて生産計画を立案してきた。30品種となると膨大な組み合わせになり、ソフトなどを用いた自動化にも取り組むことができないでいた。一方で、半導体の逼迫などで変動が激しくなり、生産計画の立案業務も複雑化し、熟練者でも最適化が難しくなってきていた。

 そこで、NECとNECプラットフォームズは、量子コンピューティング技術により大規模な組み合わせ問題の超高速処理を実現する「NEC Vector Annealingサービス」を活用した実証実験を2019年より開始した。NEC Vector Annealingサービスは大容量の高速メモリと高速行列計算を可能とするコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」と、許容解の存在範囲を高速検索するシミュレーテッドアニーリングエンジンを組み合わせたもので、いわば量子アニーリングの仕組みを非量子コンピュータ上でシミュレーションする疑似量子アニーリングサービスだ。

 複雑な制約条件がある生産計画立案作業に量子コンピューティング技術を活用するため、NECプラットフォームズの熟練者の考え方や計画立案のプロセスの明文化を行った。その上で、NECの技術者とともに、どうすれば量子コンピューティング技術を用いて効率的に計算できるか、また生産現場として譲れない条件は何かなどを落とし込んでいった。

生産計画立案の制約条件 生産計画立案の制約条件(左)と、量子コンピューティング技術による最適化のイメージ[クリックで拡大]出所:NEC

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