事業成長を支える「HP Jet Fusion」シリーズ、白色での3D造形が可能な新機種も:3Dプリンタニュース(1/2 ページ)
日本HPは2022年度の業績および今後の事業戦略を発表した。HPグローバルでは新戦略の下、顧客との継続的な関係構築に注力する。国内では戦略事業の成長などを柱にビジネスを加速。3Dプリンティング事業では白色での造形が可能な新機種を投入する。
日本HPは2023年1月19日、東京都内およびオンラインで報道陣向け事業説明会を開催し、同社 代表取締役 社長執行役員 岡戸伸樹氏が2022年度の業績および今後の事業戦略などについて説明した。
HPが注目する4つのグローバルトレンド
冒頭、岡戸氏は「社会情勢や経済状況が劇的に変化する中、それに呼応する形で企業活動も大きく変わりつつある」と述べ、HPとして次の4つをグローバルトレンドとして捉えていると説明した。
1つ目に挙げるのは「ハイブリッドワーク」だ。withコロナが進み、リモートワークの柔軟性とオフィスを活用した対面でのコラボレーションを組み合わせたハイブリッドワークのスタイルがこれからも継続していくとしている。
2つ目が「デジタルと物理世界の融合」である。その具体例として、岡戸氏はMR(複合現実)技術の活用を掲げ、同社のデジタルプレス事業で導入を開始しているマイクロソフトの「HoloLens 2」を用いたリアルタイムでのカスタマーサポート「HP xRServices」を紹介。「現在、当社のデジタル印刷機『HP Indigo』シリーズなどの保守サポートでHP xRServicesが導入されており、世界200社以上が採用し、修理時間の大幅な短縮につなげている。また、デジタルプレス事業だけでなく、3Dプリンティング事業での展開も既に始まっている」(岡戸氏)という。
3つ目は「サブスクリプションエコノミー」の台頭だ。所有から利用へのシフトがさらに進むことが予想されており、HPも海外でプリンタ用インクのサブスクリプション事業が拡大しているという。
4つ目が「製造業のデジタル化とマスパーソナライゼーション」だ。急速な市場環境の変化に伴い、モノづくりの世界では柔軟なデザイン/設計が求められるとともに、スピーディーな市場投入が強く要求されているという。岡戸氏は「HP自身もこうしたニーズに応えるべく、自社製品の多くに当社の3Dプリンタ『HP Jet Fusion』シリーズで造形された部品を活用している」と説明する。
ゲーミングや3Dプリンティングなどの成長分野は2桁の伸び、2023年も注力
そして、これら4つをグローバルトレンドとして捉え、取り組みを進める中、HPグローバルでの2022年度の業績は、売上高が約630億ドル、利益が約54.8億ドル、フリーキャッシュフローが約39億ドルとなり、岡戸氏は「世界的な経済のスローダウンの影響を受けた時期もあったが、年間を通じて安定した結果を残せたのではないか」(岡戸氏)と評価する。
また、成長分野に掲げる「周辺機器」「ゲーミング」「ワークフォースサービス&ソリューション」「個人向けサブスクリプション」「インダストリアル&グラフィックス」「パーソナライゼーション&3Dプリンティング」の6つの分野に関しては、2桁成長を遂げ、トータルの事業規模は約110億ドルに到達したとしている。この結果に対して、岡戸氏は「これら6つの分野は今後も大きな成長が期待できるため、HPは2023年も引き続き成長分野として注力していく考えだ」と述べている。
HPが掲げる顧客を中心とした「Future Ready」戦略
HPグローバルでの今後の事業戦略に関しては、「長期的な見通しが立てづらい状況が続くとともに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)もパンデミックからエンデミックへと移り変わった今、HPとしても事業変革を成し遂げてレジリエンスを高めていく必要があると考えている。そのための3カ年計画として『Future Ready』戦略を打ち出した」と説明する。
Future Ready戦略の中心に位置するのは“顧客”であり、顧客との継続的な関係を構築するために、HPとして、顧客ニーズに即した最適な製品とサービスを開発し提供することを目指す「Future Ready Portfolio」、そして社内DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進してプロセスの簡素化と自動化を進め、柔軟かつ高い生産性をもって市場変化に対応していく「Future Ready Operations」、レジリエンスを備え、アイデアと実行力があり、多様性に富んだ人材を育て、活躍できる場を提供する「Future Ready People」の3つに注力していくという。
「これらは非常にベーシックな考え方のように思われるかもしれない。だが、こういった時代だからこそ、あえて基本に立ち返ることが大切だといえる。顧客ニーズを理解し、そのニーズに適切に応えられる製品、ケイパビリティ、人材を備えることこそが、経営の果たす役割だと認識している」(岡戸氏)
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