ローカル5Gの本格普及は2025年以降に、課題は「コスト」と「使いやすさ」:製造業IoT(1/2 ページ)
5G-SDCが「ローカル5G関連市場見通し調査レポート」について説明。ローカル5Gの本格的な普及期は2025年以降になる見込みで、コストや使いやすさなどを含めて中小企業や小規模案件にも適用できるようにするための取り組みが重要になると指摘した。
5G利活用型社会デザイン推進コンソーシアム(以下、5G-SDC)は2023年1月17日、オンラインで会見を開き、ローカル5Gに関する文献調査や国内外のベンダー/ユーザーへのインタビューを基に分析と考察を行った「ローカル5G関連市場見通し調査レポート」について説明した。同レポートによれば、ローカル5Gの本格的な普及期は2025年以降になる見込みで、早期の普及に向けては2023〜2024年にかけてコストや使いやすさなどを含めて中小企業や小規模案件にも適用できるようにするための取り組みの積み重ねが重要になると指摘した。
5G-SDCは、5G/ローカル5Gの利活用促進と新市場創出を図るコンソーシアムである。5G-SDC 運営委員長で三菱電機 通信システムエンジニアリングセンター 標準化担当部長の長谷川史樹氏は「5Gの関連組織は多数あるが、5G-SDCにとって5G/ローカル5Gはあくまで手段であり、ユーザーの事業目的の達成を重視する点で大きく異なる」と語る。
東京大学 教授の森川博之氏が座長を務める総会と運営委員会の下で、会員間の共創を促進する「利活用WG」、ビジネス拡大に資する情報支援を行う「調査WG」、ユーザーの理解促進を担う「普及啓発WG」という3つのWG(ワーキンググループ)で構成されている。設立は2020年9月で、2023年1月時点で118の企業/団体が参加しており、事務局はJEITA(電子情報技術産業協会)が務めている。
今回発表したレポートは調査WGによるものだ。5G-SDC 調査WG 主査でNEC 政策渉外部 担当部長の小林康宏氏は「2020年から国内での利用が可能になったローカル5Gだが、3年弱が経過した現時点でも実証実験が中心で実装は限定的な状況にあり、市場は黎明(れいめい)期を脱していない」と指摘する。そこには、ローカル5Gでなければできないことが未確立であるが故の「費用対効果の壁」と、通信品質や安定性に不確実性が残るが故の「技術的な壁」が存在しているのだ。
今回のレポートでは、「今後、何を見据えて事業を進めればよいのか」「普及が進むための条件は何か」について調査を通して見定めるべく、ローカル5G普及のボトルネックを洗い出すとともに、解消のトリガーとなる要素を落とし込んだ2030年までのロードマップを策定した。「これによって、各事業者の機運を醸成し、今後のビジネス展開を促すのが狙い」(小林氏)だという。
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