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新実験棟で開発体制を増強、アズビルが目指すモノづくり自律化システムとはFAニュース(1/2 ページ)

アズビルは2022年12月27日、藤沢テクノセンター(神奈川県藤沢市)内で同年9月に新たに稼働を開始した2つの実験棟(第103建物、第104建物)の一部を報道陣に公開、同社 取締役 代表執行役社長の山本清博氏が会見に応じて2023年の展望などを語った。

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 アズビルは2022年12月27日、藤沢テクノセンター(神奈川県藤沢市)内で同年9月に新たに稼働を開始した2つの実験棟(第103建物、第104建物)の一部を報道陣に公開、同社 取締役 代表執行役社長の山本清博氏が会見に応じて2023年の展望などを語った。

新棟は持続的な成長に不可欠な施設、新生産拠点は国内回帰も選択肢に

藤沢テクノセンターの外観
藤沢テクノセンターの外観[クリックで拡大]出所:アズビル

 藤沢テクノセンターは1961年にマイクロスイッチなどを製造する藤沢工場として開所した。2006年の創業100周年を機に研究施設の第100建物が作られ、生産機能は湘南工場へ移管した。以降、藤沢テクノセンターとしてアズビルの中核研究開発拠点となっている。敷地面積は約2万9000m2、延べ床面積は約5万3000m2で、約2000人の従業員が働く。

藤沢テクノセンター 第3建物外観
藤沢テクノセンター 第103建物外観[クリックで拡大]出所:アズビル

 新たな第103建物は建築面積2320m2で6階建て、延べ床面積は1万721m2となっている。投資金額は41億円。最適で先進的な開発環境と合わせ、研究開発の生産性、創造性を発揮するワークスペースを整備した。社員の執務空間は集中して思考する場所と気分転換できる場所をバランスよく配置したという。1階には共創ルーム、カフェコーナーなどが置かれている。「アプリケーションを中心にソリューションを開発する部隊を集約した」(山本氏)。

藤沢テクノセンター 第4建物外観
藤沢テクノセンター 第104建物外観[クリックで拡大]出所:アズビル

 第104建物は建築面積1336m2で3階建て、延べ床面積は4217m2となっている。投資金額は31億円。アズビルのセンシング技術の要であるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)センサー開発施設および計測標準施設を整備した。現在の建設技術ならびにアズビルが持つ空調技術と計測に関するノウハウを結集した新校正室を設け、校正能力を強化した。

 第104建物にはクリーンルームも設けおり、アズビルの空調技術を駆使してMEMSセンサーの開発、生産に最適な空間にした。新たなクリーンルームによってMEMSセンサーの生産能力は大幅に増強された他、今後予定されている新しいMEMSセンサーの開発に必要な設備、材料を扱える能力も備えているという。設備搬入後に壁を作り、機械室と作業を行うプロセスエリアを分け、機械のチリ、ミストは一切入ってこないようになっている。

ソリューション拡張に向けた投資の方向性藤沢テクノセンターの新実験棟建設の狙い ソリューション拡張に向けた投資の方向性(左)と、藤沢テクノセンターの新実験棟建設の狙い(右)[クリックで拡大]出所:アズビル
アズビル 取締役 代表執行役社長の山本清博氏
アズビル 取締役 代表執行役社長の山本清博氏

 山本氏は2つの新棟について「今後10年、20年、30年とアズビルが持続的に成長していくために必要不可欠な存在だ。良い製品を作ることと同時に、それを手掛ける人材を強化すること、アズビルで長く働いてもらうことに今まで以上に力を入れなければいけなくなった。働きやすい環境は強く意識した。MEMSについても、ユーザーがより微小、複雑な工程に取り組むようになってきており、さらに伸ばすことができる。基礎研究含めて一段と力を入れていきたい」と話す。

 今回の新棟整備の規模に並ぶ次なる投資についても検討を開始している。新たな生産拠点だ。現在、アズビルの生産拠点は日本と中国、タイに置かれている。

「中国にさらに投資するのか、それ以外にするのか。それ以外となった時に、これまでは海外での3拠点目という議論だったが、国内も選択肢に入れた上で考えなければいけなくなった。今回、部品の調達難があったが、通常の取引は目が届いてもその先は見えていなかった。国内と海外では追いかけられる範囲が違う。従来のようにコスト面を中心に考えるのは難しくなってきた」(山本氏)

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