デンソーが今後10年で10兆円を投資する「5つの流れ」:脱炭素(1/2 ページ)
デンソーは2022年12月15日、オンラインで事業説明会を開き、2035年に向けた取り組みを発表した。「人流」「物流」「エネルギーの流れ」「資源の流れ」「データの流れ」の5つを網羅し、循環型社会の実現に向けた技術開発を進める。これらの領域に今後10年間で10兆円規模の投資を実施する。
デンソーは2022年12月15日、オンラインで事業説明会を開き、2035年に向けた取り組みを発表した。「人流」「物流」「エネルギーの流れ」「資源の流れ」「データの流れ」の5つを網羅し、循環型社会の実現に向けた技術開発を進める。これらの領域に今後10年間で10兆円規模の投資を実施する。
2035年には、環境保護のため循環型社会への移行に対する要請が高まるとともに、ICTの進化によるサイバーフィジカルシステムの進展、感染症や戦争の他、災害などを乗り越えるための社会システムの強靭化、価値観の多様化などがより一層進むと見込む。
10年間で10兆円、つまり年間1兆円の投資のうち、設備投資が3000億〜3500億円、開発費が5000億〜6000億円と見込んでおり、残りはスタートアップへの出資やM&Aに充てることを検討している。
人流
人流に関しては、交通事故死者ゼロに向けて運転支援の範囲を拡大する。周辺環境の監視や認識だけでなく、ドライバーの状態や運転技術、運転の傾向も含めて安全運転をサポートする。また、個々人が求める移動の価値にあわせてクルマの機能を更新できるよう、電子プラットフォームを進化させるなどソフトウェア開発力を強化する。
運転支援の範囲拡大に当たっては、検知距離や画角を広げる高性能センサー(イメージングミリ波レーダーやSPAD LiDAR)の開発や、インフラと協調して死角を補うシステムの実証に取り組む。運転支援システムとHMI(ヒューマンマシンインタフェース)の連携や、レベル4の自動運転システムの開発にも継続して取り組む。
移動に対する価値観の多様化に対応するため、グローバルでマーケティングを強化する他、提供できる体験価値の探索やユーザー評価などで理解を深める。移動に対する多様な価値観にクルマが適応する上で、電子プラットフォームやソフトウェアがカギを握る。メカ系の技術者にソフトウェアについて学び直してもらうことも必要になるとしている。
物流
2028年には物流業界のドライバー不足が27.8万人に上り、運ぶ需要のうち4分の1の荷物が運べなくなると予測されている。物流では、ドライバー不足や荷物の増加などの社会課題の解決に向けて、自動運転技術や、空荷の状態をつくらない高度な運行管理システムを組み合わせる。将来的には量子コンピューティングを活用し、物流全体で人、モノ、時間の最適化を目指す。
都市間、幹線道路、配達先までのラストワンマイルなど、目的ごとに異なる車両をシームレスに連携させる。ラストワンマイルの物流向けに、小型モビリティの自動運転技術も開発する。
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