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アジャイル開発とは何か、まずは基礎を知ろう製造業のためのアジャイル開発入門(1)(2/3 ページ)

複雑性/不確実性に対応するためソフトウェア開発業界で広く採用されている「アジャイル開発」の製造業での活用法を紹介する本連載。第1回は、アジャイル開発の定義や向いている領域、アジャイル開発の各手法を中心に、基礎から解説する。

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代表的なアジャイル開発の手法

 ここからは、代表的なアジャイル開発の手法を3つ紹介します。

スクラム

 スクラムは、現在広く採用されているアジャイル開発手法の一つです。スクラムのルールは、「スクラムガイド」と呼ばれる20ページ弱の短い文書にまとめられています。

 スクラムチームは、下記の3つの役割のメンバーで構成されています。

  • 開発者(3〜9人):どのように作ればいいかを判断/決定し、実際に動くもの(インクリメント、後述)の開発を進める
  • プロダクトオーナー(1人):ビジョンやゴールを策定し、何をどの順番で作るかを判断/決定する
  • スクラムマスター(1人):スクラムチームが円滑に回るように、開発者/プロダクトオーナーやスクラムチーム外の組織・ステークホルダーを支援する

 スクラムチームの作成物は3つ定義されています。

  • プロダクトバックログ:ビジョンやゴールの実現に必要な要求が優先順位付けされたリスト
  • スプリントバックログ:スプリントの唯一の目的であるスプリントゴールと、プロダクトバックログからスプリント内で何を実現するか選択されたアイテムおよびそのアイテムの実現のために必要な計画やタスクリスト
  • インクリメント:スプリントごとに、開発者によって作成された実際に動作するソフトウェア

 スクラムでは、スプリントと呼ばれる、1カ月以内の固定された期間を繰り返します。スプリント内でスクラムイベントとして定義されているミーティングは、下記の通りです。

  • スプリントプランニング:スプリントの最初に、スクラムチーム内でスプリントバックログを作成する
  • デイリースクラム:毎日決まった時間に開催され、開発者を中心にスプリントゴールに向けての進捗や再計画を行う。朝会という形式で実践しているチームもある
  • スプリントレビュー:スプリントの終わりに、ステークホルダーと共に、スプリントの作業結果やプロダクトゴールに対しての進捗などのレビューを行う
  • スプリントレトロスペクティブ:スプリントレビュー後、スプリントの最後にスクラムチーム内で自分たちのやり方をふりかえって改善点を発見し、対処する

 スクラムでは、上述した役割/作成物/イベントを組み合わせて、透明性/検査/適応という三本柱を実現しています。効果的な意思決定を行うためには、情報が適切な形で見えるという透明性が必要であり、透明性で得られた情報を持って頻繁に検査し、調整する必要がある場合に適応を繰り返すということを示しています。

 1年かけて1度だけ開発サイクルを回すのではなく、短いスプリントを何回も繰り返しながら透明性/検査/適応を回すことによって、プロダクトとチーム双方を高頻度で改善していきます。

図3
図3 スクラムの流れ[クリックで拡大]

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