鎌倉市を舞台とした資源循環のカタチ、3つの新たな取り組みの成果とこれから:環デザインとリープサイクル(5)(2/3 ページ)
「メイカームーブメント」から10年。3Dプリンタをはじめとする「デジタル工作機械」の黎明期から、新たな設計技術、創造性、価値創出の実践を積み重ねてきたデザイン工学者が、蓄積してきたその方法論を、次に「循環型社会の実現」へと接続する、大きな構想とその道筋を紹介する。「環デザイン」と名付けられた新概念は果たして、欧米がけん引する「サーキュラーデザイン」の単なる輸入を超える、日本発の新たな概念になり得るか――。連載第5回では「鎌倉市を舞台とした『デジタル駆動超資源循環参加型社会共創拠点』プロジェクトのこれまでの成果」について取り上げる。
(2)資源循環ルートの見える化
前回も述べたように、これからの資源循環を“脱炭素化”とも連動させるためには、輸送を可能な限り最適化する必要がある。輸送時に排出されるCO2を削減するには、
- 最適なタイミングで最短なルートを走ること
- 輸送手段を電気自動車や自転車などに代えること
- 店舗に製品を運ぶ“動脈ルート”の帰り道にそのまま資源回収までを組み合わせること
など方法は多々あるが、いずれにしても、資源がどこからどこへどう運ばれ、どこで保管され、最終的にどのようなモノが作られ、それがどこに設置されているか? という“一連の輸送の軌跡”をトレースすることが鍵になる。
現在、筆者らはこうした“資源循環ルートの見える化”を行うための地域資源循環デジタルプラットフォーム「LEAPS(Local Empowerment and Acceleration Platform for Sustainability)」(図3)を試作開発しており、そのイメージ動画を公開している(動画1、動画2)。
このプラットフォームはまだ開発中のものだが、“資源”からリサイクルにより再度“製品”となり、街のどこかに設置されている、という循環全体の流れを見える化することで、資源循環のストーリーを分かりやすく伝えてくれる(動画1)。併せて、より良い保管や輸送の方法(運び方)を検討するモードも開発中である(動画2)。また、資源循環の学習用教材としても活用できるように、来年(2023年)以降も開発を進めていく計画である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.