現場の計画遅れを逃さず即把握、プロジェクト横断での工程管理を実現する:工程管理のデジタル改革
受注生産型の製造業に良くある悩みの1つに、複数走るプロジェクトの工程管理をいかに効率よく、正確に進めるかというものがある。多くの企業では工程管理のためにExcelなどの表計算ツールを使用しているが、大日程計画と各部門の管理情報の間で反映にタイムラグが生じやすいという問題がある。現場の遅れをすぐに拾えない点で、盤石な情報共有の仕組みとは言い難い。そこで注目したいのが、工程管理/プロジェクト管理ツールの「SynViz S2」だ。
受注してから設計・製造を行う受注生産型の製造業では、受注から納品までのリードタイムを可能な限りスムーズに進めるためのプロジェクト管理が重要になってくることは言うまでもない。だが、顧客要望による製品の仕様変更や、それに伴うスケジュールの修正がどうしてもそれなりの頻度で発生しがちである。この際に問題となるのが、同時並行で走る複数のプロジェクトの工程管理を、いかにして効率よく、かつ正確に進めるかという点だ。
理想としては、部門間で横串にデータを共有し、一元的に情報を管理できるデジタル基盤が導入されていることが望ましい。だが現実には、プロジェクトの日程やリソースといった情報を、開発、設計、製造などの部門ごとに、Excelのような表計算ソフトでバラバラに管理している企業が少なくない。確かに表計算ソフトはプロジェクトに関わるメンバーや部門の数が小規模な場合は便利なツールといえるだろう。だが、ある程度の関係者や部門を巻き込むようなプロジェクトの場合、使い勝手が良いとは言い難くなる。
中でも、情報共有をリアルタイムで行いづらいことは大きな課題といえるだろう。プロジェクトに関与する部門は、自部門の作業日程を組む際に、まず大日程計画を参照する。この大日程計画の管理者は、各部門の進捗状況を取りまとめた上で、作業の遅れがあればその箇所をアップデートする必要がある。だが、各部門がローカル環境で個別に管理ファイルを作成して日程管理を行っていると、迅速な情報収集が行いづらく、結果的に大日程計画への反映が遅れることになりかねない。
逆に、大日程計画の修正を各部門が持つ表に反映するまでにもタイムラグが生じ得る。各部門では日程管理の表とは別に、プロジェクトメンバーの作業負荷や設備機器、作業場所といったリソースを把握するための表、管理進行中のプロジェクトを一覧するための表、工数を把握する表、さらにそれらを集計する表などが存在する。これらの間で大日程計画の転記が繰り返し行われるので、修正反映まで時間がかかる上、正確性の点でも懸念が残る。こうした反映の遅れは、メンバーの業務負荷調整も難しくする。
中には情報反映を自動化するために、マクロなどを組んで幾つかのファイルを連携する仕組みを作り込んでいる企業もあるだろう。しかし、ある程度複雑なマクロを作ってしまうと、作成者が異動、退職した場合、その後柔軟な運用が難しくなるという問題も生じる。
現場の作業情報を速やかに大日程計画へと反映し、また、各部門もそれを基に正確かつ効率よく計画修正を行う仕組みを作るにはどうすべきか。ここで注目したいのが、日立ソリューションズ東日本が提供する工程管理/プロジェクト管理ツールの「SynViz S2」である。
プロジェクト全体を一元的に把握可能
SynViz S2は使いやすく、見やすいガントチャートをベースに、工程管理に必要な情報を関係者が一元的に把握できるツールだ。プロジェクトの状況や問題点の把握や分析に必要な情報を集約し、見える化することで、現場にやさしい工程管理の仕組みを実現する。目的別にテンプレートを用意し、そこからプロジェクトの工程計画を作成することができるため、プロジェクトのプロセス標準化も可能だ。
SynViz S2の数ある特徴の中でも特筆すべきなのが、複数のプロジェクトや大/中/小日程の進捗状況を横串で確認できる点である。「プログラムチャート機能」により、全プロジェクトや設定したプロジェクトグループの進捗状況を、チェックポイントや進捗率などの指標を見ながら、大日程単位で俯瞰的かつ一目で簡単に確認できる。
さらに、大日程計画や他部門の計画を確認しつつ、同一画面上で自部門の工程管理表を確認できる「参照モード」も搭載されている。例えば画面上段に大日程計画を、下段に他部門の工程計画などを配置して、自部門の計画との整合性を確認しながら作業を進められる。従来、別々のファイルで管理していた情報が1つの画面上で把握できるため、その分、業務効率性が向上する。
ガントチャートの作成システムは、1つのプロジェクトに複数のサブプロジェクトを設定できる形式となっている。例えば大日程計画をプロジェクトとして作り、部門ごとにサブプロジェクトを立てると、作業日程やリソース管理をガントチャートで行える。プロジェクトごとに管理者を設定したうえでのきめ細かいリソース管理も可能だ。
日立ソリューションズ東日本 産業ソリューション事業部 ビジネスソリューション本部 Vizソリューション部 第二グループ GL主任技師の石川裕之氏は「受注生産の場合は、複数部門が同時並行で作業を進めていくといった場面が非常に多く存在します。日程ありきで計画を立てるのではなく、メンバーや設備機器、作業場などリソース確保についても、他プロジェクトとの間で調整しつつ進めなければなりません。SynViz S2であればリソース管理まで含めてプロジェクト全体を俯瞰的に見つつ、業務負荷の点で無理のない計画を目指し、柔軟かつ迅速に修正をかけることができます」と説明する。
作業進捗をビジュアルで分かりやすく表示
SynViz S2には現在の作業進捗の度合いをビジュアル面で分かりやすく表示する機能もある。進捗率という形でタスクの進行度合いが可視化される上、遅れている工程は青色、順調に進捗している工程は赤色といった具合に色別に示すこともできる。
また、イナズマ線によって工程の遅れや進みが可視化される仕組みもある。これらの機能を用いることで、どの作業に遅延が生じているかを把握した上で、その遅れている作業の担当者に直接状況を聞きながら、フォローを行ったり、計画を変更したりと柔軟な調整ができるようになる。
さらに、「アクティビティチャート機能」によって、複数のプロジェクトから特定の条件に該当するチャートだけを抜き出して同一画面上で確認することも可能だ。例えば、複数のプロジェクトから設計部門が関わる工程だけを抜き出して、一元的に把握することができる。石川氏は「工程管理にExcelを使う企業では、プロジェクトごとに逐一ガントチャートを作る企業も多くあります。これが転記作業を増やす一因になっているのですが、この手間を削減することで二重管理を防止します」と語る。
ただ、プロジェクトが長大で工数が非常に多いといった場合、参照モードを使ってもプロジェクトを横断的に見るのに一苦労、という事態も生じ得る。そこで役立つのが「シャドウ機能」だ。他プロジェクトの日程を自部門のガントチャート上に薄い“影”のような形で自動反映させる。他部門の日程との混同を防ぎつつ、自部門のガントチャートを見れば必要な情報をすぐに把握できる。
Excelライクな操作感で運用が定着しやすい
SynViz S2にはもう1つ、特筆すべき特徴がある。それが「Excelのような使用感」である。
通常、Excelを用いて工程管理を行っている企業では、図形ツールで工程を示すアイコンとして長方形を作り、日程に合わせる形で適切に配置、作業の流れを表すために図形同士を線で結び付けるといった作業を行うだろう。これは柔軟な図形配置が可能だが、それゆえの編集しづらさといった不便な面もある。
SynViz S2は工程の配置の柔軟性を持ちつつ、編集機能を高めることでExcelよりもさらに使い勝手を良くしている。作業日程を表すチャートは長さを自在に調整できる上、コピー&ペーストも可能なのでガントチャートを直感的かつ容易に作成できる。また、チャートには日付情報も付与されるため、長さを調整すると、その情報が自動的に工数やリソースの山積みグラフにも反映される。
石川氏は「他社の工程管理ツールではガントチャートに強固な階層構造が採用されており、1行当たり一工程しか置けないものもあります。SynViz S2では行をまたぐ形でチャートを自由に配置できます。これまでExcelベースでの工程管理に馴染んでいた企業にとっては、それまでの操作感はそのままに、何倍も扱いやすくなったと感じられるでしょう」と語った。実際に導入した企業からは「Excelと似た操作感のため、運用が定着しやすかった」といった声が届いているという。
さらにSynViz S2は、「Microsoft 365」のコラボレーションツール「Teams」や個人情報管理ツール「Outlook」などと連携することもできる。例えば、SynViz S2で作成したプロジェクトをTeamsのチャネルと一対一対応でひも付けられる。これによって、SynViz S2上で管理しているタスクにメッセージを付けると、チャネルにも表示される。こうした機能はリモートワーク時のコミュニケーション手段として有用だ。
石川氏は「オフィスにいない状態ではプロジェクトの進捗や課題に関するコミュニケーションが図りづらくなります。しかしメールでのやりとりだと、プロジェクトに関する情報が埋もれてしまう。そうした問題の解消が図れます」と語る。この他、Outlookと連携する場合は、SynViz S2上でメンバーに割り当てた業務の予定を登録できる。
SynViz S2の提供はSaaS形式のクラウド版と、オンプレミス版の2種類がある。クラウド版は契約後、すぐに使えるようになる。オンプレミス版は導入先企業の状況などをヒアリングした上で運用、導入を行う。順調にいけば約3〜4カ月で導入可能だ。サポートも手厚く、日立ソリューションズ東日本 営業統括本部 マーケティング・コミュニケーション本部 プリセールス・パートナービジネス部 担当部長の佐藤伸展氏は「運用面での課題発生が懸念される場合は、弊社側でアドオンを開発、組み込んだ上で、本格的に運用を開始していただく運びとなります」と説明する。
日立ソリューションズ東日本は現在、SynViz S2の操作性などを体験できるハンズオンセミナーを、毎月無料でオンライン開催している。また、顧客の要望に合わせて特定の機能を体験できる「オーダーメイドデモ」も受け付け中だ。自社の工程管理における業務の煩雑さや、計画情報の共有遅れに伴う作業遅延に課題を感じている企業は、この機会にぜひ申し込んでみてはいかがだろうか。
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提供:株式会社日立ソリューションズ東日本
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2022年12月11日