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トヨタ式TQMの体系と管理上のポイント(その2)トヨタ式TQM×IoTによる品質保証強化(3)(2/2 ページ)

高い品質を特徴としてきたはずの国内製造業だが、近年は品質不正や重大インシデントなどの発生が後を絶たない。本連載は、品質管理の枠組みであるトヨタ式TQMと、製造現場での活用が期待されるIoT技術を組み合わせた、DX時代の品質保証強化を狙いとしている。第3回は、前回に続きトヨタ式TQMの体系と管理上のポイントについて紹介する。

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(3)源流管理

 源流管理とは、各工程で得られた結果だけでなく、各工程の生産のプロセスを管理することです。ここで言うプロセスは、5M+1E(人、設備、材料、作業方法、測定、環境)を指します。各工程でできた物の品質は良品を作るプロセスによって良品が作られるという考えに基づきます。あくまで工程で生産した物を検査して良品を後工程に流し、不適合品を工程からはね出しているだけでは良品を安定して生産することにつながりません。そのためにプロセスを重視することが重要なのです。

(4)次工程はお客さま

 次工程はお客さまと思って良品を納品するという考え方に基づきます。これは自工程完結という考え方にもつながります。各工程が自分の工程で常に良品を生産して次工程に流すということになれば、全工程で良品が生産され、最終工程から良品の製品がお客さまに納品されることにつながります。

(5)計画重視

 PDCAサイクルで活動する考え方を指します。各業務目標に対して阻害する要因を抽出して、対策を立て、実行計画を立てることが重要です。その上で、実行して問題点をチェックし、必要なアクションを取りさらなる計画にレベルアップしていくといったサイクルを回し続ける考え方となります。

(6)重点志向

 重点指向とは目標を達成するために結果に及ぼす影響を調査/予測し、効果が大きく優先順位が高いものを重点的に取り組むことを指します。そのためにパレート図の活用とABC管理の手法が用いられます。

(7)人間性尊重

 従業員一人一人の能力、考える力、創造力を最も大事な経営資源と捉え、「知恵と改善」の主体である従業員の「人間性尊重」を会社理念とすることに他なりません。「仕事を通じた自己成長の促進」「従業員個々人の能力向上」「中長期的な視点からの人材育成」「OJTの重視」といった考え方から成り立ちます。

(8)最新技術の活用ポイント

 TQMで重視する7つの項目に加えて、最新技術の活用も重要なポイントになります。例えば、(2)現実直視、(3)源流管理では、従来は人が情報収集から分析、対策立案に至るまでを実施していたものを、IoTやAI(人工知能)の活用により迅速に対応することが可能になっています。具体的な内容については、今後取り上げる「品質保証における管理のポイント」で解説します。



 次回は、「製品開発(現行品、新製品)における管理のポイント」について解説します。

筆者紹介

株式会社アムイ 代表取締役
山田 浩貢(やまだ ひろつぐ)

NTTデータ東海にて1990年代前半より製造業における生産管理パッケージシステムの企画開発・ユーザー適用および大手自動車部品メーカーを中心とした生産系業務改革、

原価企画・原価管理システム構築のプロジェクトマネージメントに従事。2013年に株式会社アムイを設立し大手から中堅中小製造業の業務改革、業務改善に伴うIT推進コンサルティングを手掛けている。「現場目線でのものづくり強化と経営効率向上にITを生かす」活動を展開中。


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