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AUTOSAR CP入門(その4)BSWが提供するサービスの利用AUTOSARを使いこなす(27)(1/3 ページ)

車載ソフトウェアを扱う上で既に必要不可欠なものとなっているAUTOSAR。このAUTOSARを「使いこなす」にはどうすればいいのだろうか。連載第27回は、「AUTOSAR CP入門」のその4として「BSWが提供するサービスの利用」について取り上げる。

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 第24回から、「スケジューラは分かるが、リアルタイムOS(RTOS)はいまひとつ」という皆さんに向けてのAUTOSAR CP(Classic Platform)入門を、おおよそ以下の構成でスタートしています。

⇒連載「AUTOSARを使いこなす」バックナンバー

  • 1.処理の起動(途中まで第24回)
  • 2.処理の中身(ふるまい)の実現
    • 2.1 機能、それを実現する処理実行単位と、インタフェース
      • 2.1.1 AUTOSAR CPでのSW-C間インタフェース(ここまで、第25回)
      • 2.1.2 AUTOSAR SW-C内インタフェースおよびSW-C内部で利用できるその他のメカニズム
    • 2.2 SW-Cのモデリング:typeとprototype(ここまで、第26回)
    • 2.3 BSWが提供するサービスの利用
  • 3.SW-Cとその他の要素(RTE、BSW、HW)とのインテグレーション
  • 4.従来と同じことしかできないの?(いいえ、違います!)

 今回は「2.3 BSWが提供するサービスの利用」からです。

2.3 BSWが提供するサービスの利用

 第24回からここまでは、SW-C(Software Component)部分の実装に関する内容を中心に説明してまいりました。図1に示すAUTOSAR CPのソフトウェアアーキテクチャ※1)の、Application Layerに配置されるこれらのSW-Cは、ECUごとに異なる多様なアプリケーション機能を実現する役割を担います。

図1
図1 AUTOSAR Classic Platform(CP)のソフトウェアアーキテクチャ[クリックで拡大]

※1)各要素のおさらい:

Microcontroller AUTOSAR CPで想定するのは、いわゆるプロセッサではなく制御用マイコンであり、R21-11時点では32ビット以上のアーキテクチャ(64ビットデータをアトミックアクセスできる命令セットを持つもの)。マイコン系でのメモリ空間の分離には、プロセッサ系で使用されるMMU(Memory Management Unit)ではなく、MPU(Memory Protection Unit)が一般に使用されると(暗黙に)想定。

BSW(Basic Software) 搭載される自動車の車種やそのメーカー、ECUの種別やそのサプライヤーによらず共通に使われるような基本機能を提供するモジュール群。

ASW(Application Layer) Application Levelの機能(BSWとして標準化されない、システム/ECU固有の振る舞い)を実現するためのSoftware Component(SW-C)の集合体。

RTE(Runtime Environment) SW-C間、SW-C/BSW間の通信(ECU内、Partition/Core間、ECU間)を実現し、SW-C実行環境の提供を提供する部分。

 一方、搭載される自動車の車種やそのメーカー、ECUの種別やそのサプライヤーによらず共通に使われるような基本機能もあります。AUTOSAR CPでは、基本機能を約100個のBSWモジュールとして定義しており、BSWベンダー各社は、製品化したものをそれぞれ市場に提供しています。その概要を、おおよその機能グループごとに分けて、また、この際AUTOSAR AP(Adaptive Platform)(AP)のFC(Functional Cluster)とのおおよその対応関係も含めて表1に示します。なお、全BSWを網羅的に一覧にしたものではありません※2)。また、複数のグループに関連するモジュールもありますのでご了承ください。

表1
表1 AUTOSARにおける基本機能ブロック群[クリックで拡大]

※2)少し古いですが、R19-11時点でのBSWモジュール一覧を本連載の第15回で既に掲載していますので、必要な場合にはそちらをご覧ください(各リリースでの差分情報も本連載シリーズで掲載しています)。

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