日立がMES/SCADAの米国SIerを買収、OTとITを橋渡す“ミッシングピース”を補完:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
日立製作所は、米国でMES(製造実行システム)やSCADA(監視制御システム)のSI事業を手掛けるフレックスウェア イノベーション(Flexware Innovation)について2022年8月31日付で買収を完了したと発表した。買収金額は非公開。
日立製作所(以下、日立)は2022年9月6日、東京都内で会見を開き、米国でMES(製造実行システム)やSCADA(監視制御システム)のSI事業を手掛けるフレックスウェア イノベーション(Flexware Innovation、以下フレックスウェア)について同年8月31日付で買収を完了したと発表した。買収金額は非公開。日立 執行役常務 インダストリアルデジタルビジネスユニット CEOの森田和信氏は「日立がインダストリー事業のグローバル化を進めていく上で重点市場となっている北米で『トータルシームレスソリューション』を提供するために必要だった」と買収の意義を強調した。
フレックスウェアは1996年の創業で、米国インディアナ州のフィッシャーズに本拠を置く。2022年12月期の売上高見込みは約2800万米ドル(約40億円)で、過去5年間の年平均成長率は20%以上に達する。従業員数は2021年末時点で約100人だが、さらに数十人を追加雇用して需要に応えられる体制を整えている。創業者で社長兼CEOのスコット・ウィトロック(Scott Whitlock)氏は日立による買収後も同社を率い、日立のインダストリー事業の北米統括子会社である日立インダストリアルホールディングスアメリカ(Hitachi Industrial Holdings Americas)の経営陣と足並みをそろえて事業拡大を目指すことになる。
フレックスウェアの業界別売上高構成を見ると、ライフサイエンスが28.6%、食品・飲料が21.8%、自動車部品が6.1%などとなっている。ライフサイエンスと食品・飲料で約半分を占めることから、プロセス製造業向けにMESやSCADAのSI事業を展開しているように感じられるが、同社が近年の成長エンジンとしているのが北米の組立製造業で高い評価を得ているInductive Automationの「Ignition」というMES/SCADAのパッケージソリューションである。「ライフサイエンスも組立製造と関わるFA系の比率が高く、飲料も後工程はFA系といえる。このFA系におけるIgnition導入の実績が大きな強みになると考えている」(森田氏)という。また、米国のMES/SCADA市場が年率9.5%で成長が見込まれている点でも、フレックスウェアに十分な将来性があるとする。
なお、日立は国内市場において、自社製のMESパッケージとして自動車工場向けの「NXAUTO」、医薬品製造向けの「HITPHAMS」、組立製造業向けの「FactRiSM」などを展開しており、ダッソー・システムズの「DELMIA Apriso」も手掛けている。森田氏は「これら日立製MESパッケージなどを北米で立ち上げるには売り方の見極めなども含めて一定の時間がかかる。まずは既に高い評価を得ているIgnitionを中心に展開していく。北米でのIgnitionのノウハウを国内市場に取り込んでいくことも考えられる」と述べる。
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