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Windows環境と共存可能なRTOS「RTX/RTX64」の生存戦略リアルタイムOS列伝(26)(3/3 ページ)

IoT(モノのインターネット)市場が拡大する中で、エッジ側の機器制御で重要な役割を果たすことが期待されているリアルタイムOS(RTOS)について解説する本連載。第26回は、多くの機器に採用されているWindows環境との共存が可能なRTOS「RTX/RTX64」を紹介する。

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64ビット版対応のRTXとなるRTX64

 このRTXの後継となるのが、2013年に発表されたRTX64である図5)。位置付けとしてはズバリ64ビット版対応のRTXとなる。以下にRTXとの違いを挙げておこう。

  • 最大64プロセッサまで対応。それらのうち1〜63プロセッサをRTX64に割り当て可能。逆に最小プロセッサ数は2となった(図4にもあるように、RTXでは1プロセッサシステムでも動いた)
  • RTXとのバイナリ互換はなし。ソースコード互換はある程度保証される(Porting guideが用意される)
  • 新たにIPv4/v6やWinsock 2.0、RAW socket、MAC filteringなどを搭載したRT-TCP/IPが提供される
図5
図5 このレベルでは図2とほとんど変化がない[クリックで拡大]

 また後追いのアドオンとして、FA機器などで広く利用されている産業用ネットワークのEtherCATに対応するEtherCAT Master for RTX64や、Machine Vision for Real-time図6)なども提供されている。

図6
図6 RTX64 Vision Libraryを既存のRTX64に組み合わせる格好[クリックで拡大]

 RTX64はプロプライエタリの構造で、もちろんライセンスを購入しないと利用できないし(無償トライアルは用意されている)、サポートも有償ではある。ただ、Windows環境と共存し、それなりのリアルタイム性能が必要なアプリケーションというのはまだまだ存在するし、これを1つのマシンで完結させられるということに得難い価値を見いだせるケースは少なくないだろう。

 最近でこそ組み込み機器にArm+Androidという構成が入ることも多くなってきたが、いまだにx86ベースのSOMやSBCが多くラインアップされているというのは、やはりWindowsベースの組み込み機器の出荷量が多いということであり、そこである程度のリアルタイム性が必要になるケースでRTX64は救いになるというわけだ。

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