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“つながるモノづくり”目指すIVIの次なる挑戦、カーボンニュートラル推進のカギFAインタビュー(1/3 ページ)

IoTやAI技術などを活用した新たなモノづくりの在り方が広がる中、製造現場の課題を起点とし、「つながる工場」実現に向け2015年からさまざまな活動を続けてきたのがIndustrial Value Chain Initiative(IVI)だ。製造業が取り組まなければならない課題は山積する中、IVIではどのように捉えているのだろうか。ここ7年の製造業の変遷とIVIの取り組み、今後の展望について、IVI 理事長の西岡靖之氏に聞いた。

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 IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)技術などを活用した新たなモノづくりの在り方が広がる中、製造現場の課題を起点とし、「つながる工場」実現に向けたさまざまな活動を続けてきたのがIndustrial Value Chain Initiative(IVI)だ。

 IVIは、日本機械学会生産システム部門の「つながる工場」分科会が母体となり、2015年6月に発足。設立当初はドイツのインダストリー4.0など政府主導のさまざまな枠組み作りなどが進められていた時期であり、その中で「日本の現場力」を基軸として、現場改善の業務シナリオに沿った実証を数々進め、これらの実績をベースに、企業間協力や国際協力を進めてきた。

 ただ、設立から7年が経過し、スマート工場化への動きも徐々に製造業の中で定着が進んできた。一方でコロナ禍やモノ不足、新たにカーボンニュートラルへの対応など、製造業が取り組まなければならない課題は山積している。こうした状況の変化について、IVIではどのように捉えているのだろうか。ここ7年の製造業の変遷とIVIの取り組み、今後の展望について、IVI 理事長の西岡靖之氏に聞いた。

現場起点のコンセプトを徐々に深化

MONOist IVIが設立したころは、インダストリー4.0がドイツから積極的に発信され、“黒船”のように扱われていた時期でした。日本でもさまざまな連携の場づくりが求められていたと思いますが、そこから現在までの流れや変化についてどのように見ていますか。

西岡氏 活動を開始して8年目になる。その中で外部環境の大きな変化はあったものの、基本的には設立当初の立ち位置は変わっていないと考えている。当初の基本的なコンセプトを残しつつ時代の変化に合わせながらも継続的な取り組みを進めてこれたのではないだろうか。

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IVI 理事長の西岡靖之氏

 IVIを設立した2015年当時は、モノづくり立国であるドイツをはじめ、世界各国が新たな産業の姿を模索し始めたところで、インダストリー4.0をはじめ、インダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)など、さまざまな活動が始まったところだった。日本でも危機感が高まっていたが、その中で日本のモノづくりの強みである「現場とその困りごと」を起点とし、課題解決のために「つながる」世界を目指すというコンセプトで活動を開始した。

 IVIではさまざまなワーキンググループ(WG)活動を進めているが、全ての活動の基盤は今でもこの「現場の困りごと」の解決を目指し、その形を定義し定型化していく業務シナリオWGだと考えている。さまざまな企業が共通の課題の解決を目指して集まり、それぞれシナリオを描き、実証を進めて成功の生み出し方の「型」を作る。最盛期には200人以上の参加者がさまざまなシナリオに参加し、それぞれで製造現場に入り活動を行ってきた。

 国際的な盛り上がりの中で、レファレンスアーキテクチャ(IVRA)を発表したり、ハノーバーメッセなどの国際的な展示会での発信を行ったり、海外の団体との提携を進めたり、さまざまな動きもあった。ただ、徐々にコンセプトが浸透しスマート工場への取り組みが定着してくる中で、派手な動きは徐々に落ち着いていくのは分かっていた。そうした中で考えていたのが、業務シナリオWGでの実証や事例などの成果を次にどう生かし、どういう価値を返していくのかということだ。

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