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RS-232Cを使ってWindowsのコマンドプロンプトから電磁弁を直接動作させる注目デバイスで組み込み開発をアップグレード(3)(1/3 ページ)

注目デバイスの活用で組み込み開発の幅を広げることが狙いの本連載。第3回は、現在も広く利用されているレガシーインタフェースであるRS-232Cを使って、WindowsベースPCのコマンドプロンプトからの操作だけで電磁弁を制御してみる。

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はじめに

 前回記事は最後に「次回も電波(RF)に関わるデバイスを紹介したいと思います」と予告していましたが、ちょっと予定を変更して今回は「電磁弁」をテーマにしたいと思います。

 電磁弁をPCから制御するには、それなりのプログラムを書くのが普通でしょう。それだとあまり面白くないので、今回はプログラムレスで電磁弁を制御する方法について考えてみました。今回は、WindowsベースPCのコマンドプロンプトからの操作だけで電磁弁を制御して、ペットボトルの水を出したり止めたりする実験に挑戦してみます。

⇒連載「注目デバイスで組み込み開発をアップグレード」のバックナンバー

電磁弁とは

図1
図1 今回の実験で用いた電磁弁

 電磁弁は英語ではSolenoid Valve(ソレノイドバルブ)と呼ばれており、電磁石と弁で構成されています。電磁石の電流のオンとオフにより弁が閉じたり開いたりするデバイスです。これにより液体や気体を流したり止めたりすることができるのです(図1)。

 動作の仕方により電磁弁は2つのタイプに分けられます。1つはノーマリークローズで、もう1つはノーマリーオープンです。ノーマリークローズは電磁石に電流を流さない状態では弁は閉じており、電流を流すと弁は開きます。ノーマリーオープンは電流を流さない状態では弁は開いているのですが、電流を流すと弁は閉じます。ノーマリークローズはN/C、ノーマリーオープンはN/Oと略すことがあります。例えば、水を出したり止めたりする制御の場合、ノーマリークローズの場合は電磁石に電流を流した時のみ水は出てきます。一方、ノーマリーオープンの場合は、普段は水が出っ放しで電磁石に電流を流した時だけ水が出るのが止まります。

 この他、動作電圧や流せる量、制御する対象が液体か気体かによってさまざまな電磁弁があります。今回用いる電磁弁は動作電圧がDC12V、ノーマリークローズ、液体と気体の両方を扱えるタイプを用います。

 それ以外のスペックは以下のようになっています。

  • 定格電圧:DC12.0V
  • 電流:≦160mA
  • 流体の種類:液体/気体
  • 温度の範囲:0〜55℃
  • 消費電力:≦3W
  • 取り付け穴の間隔:13mm
  • 流速:約0.7l(リットル)/分

 図1の電磁弁は、ペットボトルのふたと、水を流すホースがついています。ちなみにこのホースはLANケーブルの中のツイストペアケーブルを抜いたものです。これが意外と電磁弁のノズルにピッタリはまるのです。熱帯魚のエアポンプなどのノズルとも合います。読者の皆さんの中に、それらのパイプとLANケーブルの意外な関係性についてもしご存じの方があればぜひ教えてください。

動作原理

 PCから電磁弁を動作させるインタフェースはRS-232Cを用います。シリアルインタフェースとも呼ばれ、1980年代に世の中にPCが登場し始めた頃からPCの標準インタフェースとして搭載されていました。最近ではめっきり標準搭載のPCは少なくなりましたが、USBを介した外付けインタフェースの形で提供されています。RS-232Cはいまだに根強い需要が存在しており、おもにFA(ファクトリーオートメーション)の分野や各種計測機器との接続に欠かせないインタフェースの一つです。

 今回の実験に必要なところだけかいつまんで説明します。まず、RS-232Cは1文字をビット列にして送る規格です。今回の用途でいえば、PC側から電磁弁制御回路に向けての信号の流れですから、PCが送信元になるTxD信号のみを用います。

 ここから電気的な話に移ります。PC内蔵であれ、外付けインタフェースであれ、RS-232Cでは9ピンのコネクターが使用されるのが一般的なので、これを前提に話を進めて行きます(以前は25ピンのコネクターも使用されていましたが、今回は割愛します)。PC側のRS-232Cコネクターの3番ピンがTxDです。グランド(GND)が5番ピンとなります。RS-232Cではグランドを基準に+3〜15Vが0、−15〜−3Vが1となります。

 RS-232Cの出力でソレノイドを制御するわけですから、8ビット列の中で電圧の高いビットが数多く出力されほうが電磁弁はオープンしやすくなります。

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