“倫理的”なノキアが目指す無線基地局のエネルギー効率改善、液冷システムも披露:製造業IoT(1/2 ページ)
ノキアソリューションズ&ネットワークスが、同社の無線アクセスネットワーク(RAN)製品の事業戦略を説明。「さらなるモバイル通信の進化に求められる技術開発をハードウェアとソフトウェアの両面で進めつつ、気候変動への対応に必要なエネルギー効率の改善にも取り組み、倫理的(Ethical)なテクノロジー企業であり続ける」という。
ノキアソリューションズ&ネットワークスは2022年7月20日、東京都内で開催したイベント「Nokia Connected Future 2022」において、同社の無線アクセスネットワーク(RAN)製品の事業戦略を説明した。ノキア(Nokia)のフィンランド本社から来日した製品管理部門責任者 モバイルネットワーク、RAN製品ラインマネジメントのブライアン・チョー(Brian Cho)氏は「さらなるモバイル通信の進化に求められる技術開発をハードウェアとソフトウェアの両面で進めつつ、気候変動への対応に必要なエネルギー効率の改善にも取り組んでいく。当社は倫理的(Ethical)なテクノロジー企業であり続ける」と語った。
ノキアがRAN製品を進化させていく上で重視しているのは、自社開発のSoC(System On Chip)の採用である。無線基地局向けのSoCとしては「ReefShark」があり、L1、L2、L3、RFのDFE(デジタルフロントエンド)などの各レイヤーに対応する「ReefShark 4401/4402」「ReefShark 3301」「ReefShark 6602」などを展開してきた。チョー氏は「最新の半導体製造プロセスを採用することで求められる性能を実現していく。既に次世代品もテスト段階にあり、2025年以降に向けた次々世代品も企画段階にある」と述べる。
これらのSoCを搭載するベースバンド処理装置「AirScale」は、モジュール式による柔軟な拡張性を備えている。また、ラックマウントが不要な屋外向けのベースバンド処理装置「ASOE」も好評を得ているという。さらに、マクロセルやスモールセル、5Gで登場したミリ波などに対応する無線製品群もそろえており、無線基地局のネットワークの構築に必要な製品を全てカバーしている。
これらのハードウェアに加えて、ノキアはソフトウェア開発にも注力している。特に注目すべきなのは、2022年からRAN製品のソフトウェアのリリースサイクルを四半期に1回ペースに移行したことだろう。これまでは、既存のLTEまでに対応するSingle RAN製品と5G対応のRAN製品で個別に年間2〜3回のリリースサイクルでソフトウェアを提供していたが、2021年の1年間をかけてSingle RANと5G RANのソフトウェアを一本化した。これにより、2022年から2月、5月、8月、11月の年4回のソフトウェアリリースが可能になったという。
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