AUTOSAR CP入門(その2)インタフェースの切り方次第で再利用性も変わる?:AUTOSARを使いこなす(25)(5/5 ページ)
車載ソフトウェアを扱う上で既に必要不可欠なものとなっているAUTOSAR。このAUTOSARを「使いこなす」にはどうすればいいのだろうか。連載第25回は、「AUTOSAR CP入門」のその2として「処理の中身(ふるまい)の実現」をについて取り上げる
補足:OSEK/VDXのWebサイトが復活?
なお、OSEK/VDX OSなどを勉強してみたいという方の中には、かつて無償で公開されていたOSEK/VDX文書の入手にお困りの方もいらっしゃるようですので、以下の参考情報をご参照ください(あまり役に立たないかもしれませんが……)。
OSEK/VDXが発行する各種文書は、その一部※9)がISO 17356シリーズ(Road vehicles - Open interface for embedded automotive applications)として発行された後も、2016年まではその公式Webサイトである「https://www.osek-vdx.org/」で公開されていました。しかし、翌年の2017年にはAUTOSARのWebサイトに転送されるようになり、さらに2018年夏ごろにはISOのWebサイトに転送されるようになり、一般に入手可能なルートが絶たれていました(怪しげなコピーは時折落ちていますが、皆さん、安全とは限りませんのでご注意を)。
しかし、2022年に入り、公式Webサイトでの公開が再開しているようです。ただ、公開元からアナウンスがあるわけでもなく、また、過去の公開内容を一部復活させたもののようでリンク切れも多々あり、正式に公開再開なのかその途上なのか、はたまたもっと別の形(あまり想像したくないですが)なのかは今のところよく分かりません。ご自身の責任でアクセスいただければと思います。
なお、ISO化されなかったMODISTARC(Methods and tools for the validation of OSEK/VDX based distributed architectures)やORTI(OSEK Run Time Interface)、TTOS(time triggered operating system)、FTCOM(fault tolerant communication)などは、普通に到達できるトップページからはアクセスできないようでした(2022年6月26日時点)。
なお、AUTOSAR CPでは、R4.3.1前後で、参照先をOSEK/VDX文書からISO 17356シリーズ文書に切り替えられていますので、ISO文書があれば本来はOSEK/VDX文書を参照する必要はないのですが、AUTOSAR CP SWS Comのように、文書名だけ変更してclause番号を変更し忘れている文書がありますので、OSEK/VDX文書があるに越したことはありません(無保証ですが対応表は手元にございますので、必要な方はご連絡ください)。
※9)OSEK/VDX文書とISO文書との関係は以下の通りです。
- ISO 17356-1:2005 Part 1: General structure and terms, definitions and abbreviated terms ※OSEK/VDXのBinding Document文書(BD)1.4.1のintroduction / glossary部分に相当
- ISO 17356-2:2005 Part 2: OSEK/VDX specifications for binding OS, COM and NM ※OSEK/VDX BD文書 1.4.1の上記以外の部分に相当
- ISO 17356-3:2005 Part 3: OSEK/VDX Operating System(OS)※OSEK/VDX OS 2.2.1仕様に相当
- ISO 17356-4:2005 Part 4: OSEK/VDX Communication(COM)※OSEK/VDX COM 3.0.2仕様に相当
- ISO 17356-5:2006 Part 5: OSEK/VDX Network Management(NM)※OSEK/VDX NM 2.5.2仕様に相当
- ISO 17356-6:2006 Part 6: OSEK/VDX Implementation Language(OIL)※OSEK/VDX OIL 2.4.1仕様に相当
同じように、LINコンソーシアムによるLIN Specificationも、ISO 17987シリーズ文書としての発行の後、いったんは公開されなくなりました。
しかし、かつての公式Webサイトでは触れられていませんが、現在はCiA(CAN in Automation)のWebサイトで公開が継続されています。
なお、ISO 17987-1などは改訂することが決まったようで、2022年5月30日付でstage 30.99 CD approved for registration as DISの段階となっています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ≫連載「AUTOSARを使いこなす」バックナンバー
- ≫連載「AUTOSAR〜はじめの一歩、そしてその未来」バックナンバー
- AUTOSAR CP入門(その1)RTOSがAUTOSAR理解の壁になっている?
車載ソフトウェアを扱う上で既に必要不可欠なものとなっているAUTOSAR。このAUTOSARを「使いこなす」にはどうすればいいのだろうか。連載第24回からは、AUTOSAR CP(Classic Platform)の導入拡大の大きな障壁になっているであろう、スケジューラ方式による開発からRTOSを用いた開発への移行で求められる知識をまとめた「AUTOSAR CP入門」をお送りする。 - AUTOSARの最新リリース「R21-11」(その3)+合意形成のための5ステップ
車載ソフトウェアを扱う上で既に必要不可欠なものとなっているAUTOSAR。このAUTOSARを「使いこなす」にはどうすればいいのだろうか。連載第23回は、「AUTOSAR R21-11」で導入された10の新規コンセプトのうち残りの5つの内容を解説するとともに、AUTOSARの標準化における合意形成のための“黄金の”5ステップを紹介する。 - AUTOSARの最新リリース「R21-11」(その3)+合意形成のための5ステップ
車載ソフトウェアを扱う上で既に必要不可欠なものとなっているAUTOSAR。このAUTOSARを「使いこなす」にはどうすればいいのだろうか。連載第23回は、「AUTOSAR R21-11」で導入された10の新規コンセプトのうち残りの5つの内容を解説するとともに、AUTOSARの標準化における合意形成のための“黄金の”5ステップを紹介する。 - AUTOSARの最新リリース「R21-11」(その2)+標準化活動の近況
車載ソフトウェアを扱う上で既に必要不可欠なものとなっているAUTOSAR。このAUTOSARを「使いこなす」にはどうすればいいのだろうか。連載第22回は、2021年11月25日発行の最新規格文書「AUTOSAR R21-11」で導入された10の新規コンセプトのうち5つの内容について解説する。 - AUTOSARの最新リリース「R21-11」(その1):新規コンセプトの他に変更や廃止も
車載ソフトウェアを扱う上で既に必要不可欠なものとなっているAUTOSAR。このAUTOSARを「使いこなす」にはどうすればいいのだろうか。連載第21回からは、2021年11月25日に発行された最新規格文書の「AUTOSAR R21-11」について紹介する。 - マルチコアマイコンへの対応で進化するAUTOSAR Classic Platform(後編)
車載ソフトウェアを扱う上で既に必要不可欠なものとなっているAUTOSAR。このAUTOSARを「使いこなす」にはどうすればいいのだろうか。連載第20回では、前回に引き続き、AUTOSAR Classic Platformにおけるマルチコアマイコンへの対応について解説する。