国産巨大3Dプリンタとリサイクルシステムを一体化、「鎌倉発」の最先端ラボ公開:サステナブル設計(2/4 ページ)
慶應義塾大学SFC研究所 環デザイン&デジタルマニュファクチャリング共創ラボは、科学技術振興機構の「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」において、地域共創分野育成型プロジェクトとして採択された「デジタル駆動超資源循環参加型社会共創拠点」の地域研究活動サテライト拠点として開設する「リサイクリエーション 慶應鎌倉ラボ」の内覧会を開催した。
大型3Dプリンタやマテリアル再生装置などが1つのシステムとして機能
リサイクリエーションラボ内には、エス.ラボと共同開発した純国産の「混合リサイクル式大型3Dプリンタ」(ペレット材に対応する材料押し出し積層方式)の他、回収した使用済みプラスチック(例:樹脂製ハンガー、洗剤の詰め替えパック)などをフレーク状に細かく砕く「粉砕機」、そして粉砕した材料に、リサイクル素材の繊維や粉末フィラー入りマスターバッチなどの改質材を適切な配分で添加してリペレットする「マテリアル再生装置」、再生したペレット材などを乾燥させて造形時の品質を高める「乾燥機」、造形材料を配合して3Dプリンタに供給する「材料配合・供給機」といった装置が並び、市民から集めた資源とアイデアを基に、高付加価値アップサイクルの実現を目指す。
なお、混合リサイクル式大型3Dプリンタには、2つの3Dプリンタが組み込まれており、大型の3Dプリンタの最大造形サイズは1000×1000×1000mm、中型の3Dプリンタの最大造形サイズは400×700×400mmとなっている。これにより、家具のような大型のものからプランターのような小さなものまで、幅広く造形することができる。
また、リサイクリエーションラボ内の、それぞれの装置は単独で切り離されたものではなく、1つのシステムとして接続され、各工程が連携することを目指している。そのため、現在は「各装置メーカーと共同で個別の機能拡張やカスタマイズなどの改良を進めながら、リサイクルシステムと大型3Dプリンタがドッキングした1つのパッケージとして機能するように研究開発を進めている」(田中氏)としている。例えば、3Dプリンタと材料供給機の連携では、制御プログラムによって造形途中で供給する材料の配合を変えることで、部位ごとに異なる物性を持たせたり、途中で色味を変化させたりといったことも可能になる。
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