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あの壊れないロボットが4足歩行のヤギに、力強い遠隔操縦ロボも――iREX2022サービスロボットレポート2022国際ロボット展レポート(2/4 ページ)

コロナ禍を経て開催の時期や規模で影響を受けた「2022国際ロボット展(iREX2022)」。本稿では、サービスロボットゾーンの展示を中心にレポートする。4足のヤギ型ロボットで話題をさらった川崎重工業のヒューマノイドロボットや、本田技術研究所と人機一体の遠隔操縦ロボット、社会実装が進みつつある自動配送ロボットなどに注目が集まった。

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力強さと器用さを両立する多指ハンド

 本田技術研究所は、遠隔操縦が可能なアバターロボットを出展していた。同社は、2030年代の実用化を視野に、アバターロボットの研究開発を進めている。アバターロボット自体は既に多くの企業が開発しており、それほど真新しいものとはいえないものの、同社技術の大きな特徴は2つある。

本田技術研究所のアバターロボット
本田技術研究所のアバターロボット。左の人がロボットを操作している[クリックで拡大]

 1つは、ハンドの技術だ。ロボットの社会実装において、最大級の難問の1つが実はハンド。人間の手は非常に良くできている。固いものも柔らかいものも器用につかめるし、指は細いのに力強い。産業用ロボットなら特定タスクのための専用ハンドを使えば良いが、生活環境では汎用的な能力が求められる。これが非常に難しい。

 同社は、力強さと器用さを両立する4本指のハンドを開発。この指はワイヤで駆動しており、動滑車を採用したことで、指先で50Nの力を発揮することができるという。今回、ブースでは見ることができなかったものの、缶のプルタブやペットボトルの蓋を開けるようなことも可能というから驚きだ。

アバターロボットのハンド
アバターロボットのハンド。腕の太い部分に機構が収納されている[クリックで拡大]
これは初公開という新型ハンド
これは初公開という新型ハンド。腕の部分がスッキリしているのが分かる[クリックで拡大]

 もう1つの特徴は、動きをAI(人工知能)がサポートするということだ。人間の動きをそのままロボットがトレースするだけだと、作業効率は人間のスキル次第。しかし遠隔操縦は、遠近感を捉えづらく、体のサイズも違うので、上達するためにはそれなりの練習が必要だ。

 一方、このアバターロボットは、人間の目、手、指の動きから、人間の意図を推定。例えば、モノをつかみたいと判断すれば、その近くに手を移動させるなど、ロボットの動きをAIが補正する。細かい動きはAIに任せ、人間はどう動かすかの状況判断だけで良いので、これなら、誰でも簡単に動かせるようになるというわけだ。

AIの処理状況
AIの処理状況。人間のつかみたい物体をちゃんと認識している(赤線)[クリックで拡大]
アバターロボットのデモ。この回はちょっと失敗していた[クリックで再生]

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