トポロジー最適化の実践 〜いろいろな“形の創造”事例〜：フリーFEMソフトとExcelマクロで形状最適化（8）（3/7 ページ）

原理原則を押さえていれば、高額なソフトウェアを用意せずとも「パラメトリック最適化」「トポロジー最適化」「領域最適化」といった“形状最適化”手法を試すことができる！　本連載ではフリーのFEM（有限要素法）ソフトウェア「LISA」と「Excel」のマクロプログラムを用いた形状最適化にチャレンジする。連載第8回では、トポロジー最適化の適用による、いろいろな“形の創造”事例を紹介する。

[高橋良一／ＲＴデザインラボ 代表，MONOist]

解析を実行する

　ここまで準備ができたら、メニュー部の解析ボタン［＝］を押して、解析を実行してください。

　そして、解析が完了したら図13のルールに従って、LISAの上部メニューから「File」−「Save as…」をクリックし、「C:\Temp」フォルダに保存してください。

図13　ファイル名のルール［クリックで拡大］

　では、Excelに戻ります。キーボードの［Ctrl］キーを押しながら「Topo beam1」シートのタブを横にドラッグ＆ドロップして複製を作ります。そして、図14に示すように複製した「Topo beam1（2）」シートのタブを右クリックして、シート名を「Topo MBB」に変更します。

図14　シートのコピーと名前の変更［クリックで拡大］

　Topo MBBシートのA4セルを「1」に、B4セルを「MBB」に変更します。今度は肉抜き後の体積を元の体積の0.37倍にしましょう。M4セルを「0.37」としてください。

図15　シートの初期設定［クリックで拡大］

　以降の作業は、前回と同様です。思い出しながらやってみましょう。［Read liml file］ボタンが赤色ではなく灰色（グレー）になっているかもしれませんが、そのまま押してください。

　結果を図16に示します。剛性を最大限保ちながら元の体積の0.37倍となる形状が求まりました。

図16　最適化計算の過程［クリックで拡大］

　図17に、f（ρ₁、ρ₂、ρ₃……ρ_ne）の変化を示します。この量は物体に蓄えられる仕事量（エネルギー）であり、最小化されていることが分かります。図16の結果は2分の1対称モデルなので、これを拡張すると、MBBはりの形状は図18のようになります。A部の輪郭が曲線になっていることに注目してください。

図17　f（ρ₁、ρ₂、ρ₃……ρ_ne）の変化［クリックで拡大］

図18　MBBはりの最適化解［クリックで拡大］

　最適化解は小骨がたくさんある構造です。ジブリ映画『風立ちぬ』で、ゼロ戦の設計者である堀越二郎が軽量化のためにサバの骨を目指しました。小骨は最適解なのではないかと思っています。