検索
インタビュー

保険会社がなぜロボコンに? 異色の参戦者が語る「自分でつくる」大切さETロボコン(1/4 ページ)

組み込み開発の技術力などを競い合うETロボコン。2021年に開催された同大会には、保険会社という“異色”の企業が参戦した。同社はなぜ、ロボコンに参加したのか。三井住友海上火災保険の担当者に話を聞いた。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 ETソフトウェアデザインロボットコンテスト、略して「ETロボコン」。組み込みシステム開発関連企業で構成される、組み込みシステム技術協会(JASA)が主催するコンテストで、参加者は組み込み用ソフトウェア開発の技術力などを競い合う。2022年の「ETロボコン2022」で21回目の開催を迎える、歴史ある大会だ。

 ETロボコンの参加者は電子機器やIT分野の企業が半数を占めており、これに加えて機械工学や情報通信系の大学、高等専門学校のチームも多数参加している。そうした中で、2021年の大会(「ETロボコン2021」)にはひときわ目を引く企業が参戦していた。三井住友海上火災保険である。同大会が初参加だったにもかかわらず、同社 IT推進部のチーム「MSモード2」はプライマリークラスで3位という良好な結果を出している。

MSモード2(三井住友海上火災保険 IT推進部)の走行[クリックで再生] 出所:ETロボコン

 「ロボコン」と「保険会社」の間には、少し距離があると感じる人もいるだろう。だが、三井住友海上火災保険 IT推進部の谷口亘氏は「組み込み開発でも保険会社の開発でも、根幹にある『モノをつくる』という本質は同じです」と語る。“異色”の参戦の理由を同氏に尋ねた。

ソフトウェア開発に重点を置いたロボコン

 先に、ETロボコンについて概要を説明しておきたい。同大会は他のロボコンと違い、ソフトウェア開発を重視している点を大きな特徴とする。参加者が開発するのはロボットの走行など挙動を制御するソフトウェアで、走行体(ロボットの機体)は参加者全員が共通のものを使用する。このため、競技結果は主にソフトウェアの出来によって左右されることになる。


リアル開催の場合は、実際に走行体を走らせて競技を行う[クリックして拡大] 出所:ETロボコン実行委員会

 競技は「エントリー」「プライマリー」「アドバンスト」の3クラスが用意されており、開発初級者から熟練者まで自チームの力量に合った難易度を選べる。例えば、三井住友海上火災保険は、ETロボコン2021でプライマリークラスに参加した。同クラスでは、走行体をラインに頼らず障害物を避けて走らせ(「スラローム」)、色分けした領域にブロックを正確に運ばせる(「ブロック搬入」)ことなどが要求される。競技結果だけでなく、ソフトウェアのモデリングも審査対象となり、総合的に評価が下される点もETロボコンの特徴といえるだろう。

プライマリークラスでは「スラローム」(左)や「ブロック搬入」(右)などが用意されている[クリックして拡大] 出所:ETロボコン実行委員会

 なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、ETロボコン2020/2021は全クラスで従来のリアル開催を中止し、シミュレーター上で構築したコースによるオンライン開催のみの実施となった。ETロボコン2022からは、エントリークラスにシミュレーター競技を残しつつ、走行体を使ったリアル開催も検討しているという。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る