検索
特集

ADASや自動運転に不可欠な車載ネットワークの高速化、今後の進展は車載ソフトウェア(1/4 ページ)

より高い帯域幅とより低遅延のネットワークは、時間的制約のある複雑な自動車技術に対応する上で、重要な役割を担います。これらの要件の多くは、帯域幅が最大10Gbpsの車載イーサネットで対応することができます。一部のカメラの要件が最大3500Mbpsであることを考えると、そのデータをカバーする別のテクノロジーも考慮する必要があります。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 自動車業界のイノベーションが急速なペースで進んでいます。過去20年の進展がリニア的だったとしたら、直近の2〜3年は指数関数的なものだといえるでしょう。

 かつては、自動車はA地点からB地点に行く移動手段でしたが、今はもう自動車は単なる移動手段ではなくなりつつあります。市場に出回っているほぼ全ての新車には、バックモニター、駐車支援、死角モニタリング機能が搭載されています。中には360度ビューを提供する自動車もあります。

 他にも、交通情報や潜在的な危険、他の道路利用者、車両、歩行者に関する情報をリアルタイムに得るためのセルラー接続の機能や、ドライバーが注意散漫になっていないか、疲れていないかを検知する機能もあります。一方、同乗者は運転状況に注意を払うことなく、インフォテインメントシステムを楽しむことができます。これらの機能は、センサー、カメラ、ネットワークを組み合わせて提供されます。

 次世代の先進運転支援システム(ADAS)には、ますます高解像度のカメラとレーダーシステムが必要になります。これは、ネットワーク、スイッチ、データを伝送する速度と帯域幅が増えることを意味します。

 自動車技術のイノベーションは、既存のケーブルインフラストラクチャ上で1Gbpsを超えるデータレートで動作する高度な車載用技術に対応するために、急激に加速しています。より高い帯域幅とより低遅延のネットワークは、時間的制約のある複雑な自動車技術に対応する上で、重要な役割を担います。

 これらの要件の多くは、帯域幅が最大10Gbpsの車載イーサネットで対応することができます。一部のカメラの要件が最大3500Mbpsであることを考えると、そのデータをカバーする別のテクノロジーも考慮する必要があります。

帯域幅の要件

 帯域幅の要件を理解するには、以下に挙げるビデオストリームのおおよそのビットレート計算方法が役立ちます。

  • フレームサイズ:解像度×色深度(Color Depth)
  • ビットレート:フレームサイズ×フレームレート

 つまり、色深度が24ビット、30fpsで送信する1080p画像をキャプチャーするADASカメラの場合、サポートされるビットレートは以下になります。

  • フレームサイズ=1920×1080×24=4976万6400
  • ビットレート=4976万6400×30=1493Mbps

 下の表は、自動運転に関係するさまざまなセンサーからの一般的なデータ量を示しています。

センサーから得られる一般的なデータ量
センサー ビットレート/センサー
カメラ 500〜3500Mbps
Lidar 20〜100Mbps
レーダー 0.1〜5Mbps
超音波 0.01Mbps

業界の要件

 自動車の進化はさまざまな動機の下で推し進められています。以下に、影響力の大きなものを挙げてみましょう。

  • 高帯域幅で軽量な素材の需要増加
  • 運転支援システムへの需要拡大
  • 高級車の需要の高まり
  • 将来を見据えたテクノロジー
  • データセキュリティの向上

 私たちは、燃料(あるいはバッテリー)の効率を最大化するために、高帯域幅技術と軽量化の必要性に迫られています。バックモニター、駐車支援や車線変更支援用の全てのセンサーに加えて、新しい注意喚起ディスプレイや同乗者ディスプレイ、さらにインフォテインメントシステムは、ADASと自動運転技術の需要から生まれています。

 加えて、ネットワークアーキテクトは、テクノロジーの向上に合わせて、車両をどのように拡張するべきかを理解する必要があります。

 現在、自動車は10年から15年にわたり使用されることが想定されています。コストパフォーマンスの高い相互接続(インターコネクト)ソリューションによって、追加可能な帯域幅サポートを提供できるのであれば、ユーザーが車両を使用している間に必要とするADAS/自動運転(AV)などの高機能を追加できるよう、現在の設計を検討する必要があるかもしれません。

 もちろん、安全性も車両設計にとって非常に重要な分野です。より多くの自動運転機能およびADAS機能が人間から引き継がれるようになると、乗客の安全性が非常に重視されるようになります。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る